公的年金(国民年金)と個人年金保険を比較|税金や保険料の違いとは?

2018年11月15日

国民年金は保険料を支払っても将来年金が受け取れるか不安なため、保険料を滞納し、民間の保険会社が販売する個人年金保険に加入したいという方がいますが、この考え方は正しいのでしょうか?

民間の保険会社が販売する個人年金保険は必ず年金が支払われるのでしょうか?公的年金(国民年金)には国の制度としてのメリットはないのでしょうか?

今回は、公的年金(国民年金)と民間の保険会社が販売する個人年金保険を下記の点で比較したいと思います。

  • 保険料の違い
  • 給付種類の違い
  • 保険料免除制度の有無
  • 年金支払期間の違い
  • インフレに対する強さの違い
  • 保険料支払時の控除の違い
  • 年金受取時の税金の違い

国の制度としての公的年金(国民年金)の個人年金保険にはないメリットについてご理解いただければと思います。

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1.公的年金と個人年金保険の比較①:保険料の違い

まず、個人年金保険の保険料と、公的年金(国民年金)の保険料を比較してみたいと思います。個人年金保険の試算結果は以下の通りです。

個人年金保険の試算例
商品:5年保証期間付終身年金
被保険者:20歳男性
払込期間:60歳払済
年金受取開始年齢:65歳
基本年金年額:70万円

月額保険料25,683円

国民年金と全く同じ条件ではないので、単純比較はできませんが、年金年額70万円の契約で月額保険料は25,683円です。

一方、国民年金(平成30年度)は20歳~60歳まで40年加入で年金額は779,300円(満額)です。月額保険料は16,340円(平成30年度)です。

国民年金(基礎年金)の給付は半分が税金で賄われています。平成21年度から国庫負担割合は、3分の1から2分の1になっています。そういう観点からも国民年金は、個人年金保険よりも有利になっています。

 

 

 

2.公的年金と個人年金保険の比較②:保険料免除制度の有無

国民年金には、保険料免除という制度があり、失業等により収入が下がった場合など、保険料を納めることが経済的に苦しいときには、申請することにより保険料の納付が免除されます。

免除される額は、収入によって下記の四種類があります。

  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

免除制度の良いところは、国民年金の保険料を支払わなくても『未納』という状態にならない点です。申請をせず『未納』の状態が続くと、10年間(120ヶ月)の受給資格期間を満たせず、老齢基礎年金を受け取れなくなる可能性があります。

※平成29年8月1日から老齢年金の受け取り25年必要だった受給資格期間が10年に短縮されました。
国民年金の受給要件が10年に短縮化

また、保険料を『未納』の状態にしておくと、保険料納付要件を満たせず、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない可能性があります。
国民年金の未納と免除を比較|未納のデメリットとは?

『免除』の状態だと、老齢基礎年金の受給資格期間に算入され、免除される額によって下記の通り、年金額の計算にも反映されます。

  • 全額免除:「1/2」が年金額に反映
  • 4分の3免除:「5/8」が年金額に反映
  • 半額免除:「6/8」が年金額に反映
  • 4分の1免除:「7/8」が年金額に反映

残念ながら個人年金保険には、上記のような制度はありません。

上記のような制度があるので、国民年金の保険料を支払うのが苦しい場合には、払えないからといって『未納』の状態を放置せず、免除の申請をしてみてください。

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3.公的年金と個人年金保険の比較③:給付の違い

保険料を支払うことにより、どのような給付があるのかを公的年金(国民年金)と個人年金保険で比較してみました。

 

■国民年金の給付

国民年金は老齢障害死亡を原因とする年金が支給されます。支給される年金は以下の通りです。

  • 老齢基礎年金(老齢)
  • 遺族基礎年金(死亡)
  • 障害基礎年金(障害)

多くの方が勘違いしているポイントですが、公的年金(国民年金)を受け取れるのは、高齢になった時だけではありません。公的年金には上記の通り、万が一の際の遺族保障や、障害状態になった場合の保障もあります。

 

■個人年金保険の給付

一般的に個人年金保険で受け取れるのは、60歳や65歳等からの年金です。障害年金や遺族年金は支払われません

保険料払込期間中に被保険者が亡くなった場合には、払込保険料相当額の死亡保険金が支払われます。

 

 

 

4.公的年金と個人年金保険の比較④:年金支払期間の違い

年金が支払われる期間の比較は以下の通りです。

 

■国民年金の年金支払期間

老齢基礎年金は終身年金です。年金受給者(年金を受け取っている人)が生きている間、年金が支払われ続けます。年金受給者が亡くなれば、年金の支払いは止まります。

 

■個人年金保険の年金支払期間

個人年金保険は、終身年金か確定年金かを契約時に選択します。また、終身年金にも一定期間の年金の支払いが保証される保証期間付き終身年金もあります。

確定年金や保証期間付き終身年金の保証期間の間に年金受給者が亡くなった場合は、保証されている残りの期間分が遺族に支払われます

国民年金の老齢基礎年金は、終身年金ですが、一般的に多くの方が契約されている個人年金保険は、年金支払期間を10年や15年等とする確定年金です。

 

 

 

5.公的年金と個人年金保険の比較⑤:インフレに強い?弱い?

物価が上がるインフレ時にはどのような違いがあるでしょうか?インフレになるとモノの値段が上がり、通貨の価値が下がります。

具体的には100円で買えてたモノが物価が上がり、200円になると通貨の価値は1/2になったことになります。

 

■国民年金

インフレの状態で年金額が同じであれば、買えるモノが減るわけですから、生活が苦しくなります。そうのような状態を避けるため、国民年金には物価スライドという制度があります。

公的年金の年金額は、物価・賃金の変動率に応じて年度ごとに改定されることになっています。例えば、インフレでモノの値段が上がると、年金額も上がる仕組みになっています。

但し、平成16年の年金改正により、マクロ経済スライドが導入されています。マクロ経済スライドの導入により現役世代の人口の減少などを考慮して物価等の上昇から公的年金加入者数の減少率などを差し引いた率で年金額が改定されることになっています。

具体的には、賃金や物価による改定率から、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」を差し引くことによって、年金の給付水準が調整されます。

つまり、物価や賃金が上がっても、「スライド調整率」を差し引かれるので、物価や賃金が上がっているほど、年金額は上がらない仕組みになっています。

マクロ経済スライドの詳細については、日本年金機構の下記ページをご参照ください。
マクロ経済スライド(日本年金機構)

 

■個人年金保険

一般的な個人年金保険の年金支払額は契約時に決まっていますので、インフレには弱く、国民年金のようにインフレによって年金額が変動するような仕組みはありません。

インフレに弱いという点は個人年金保険だけではなく、生命保険全般にいえることです。

 

 

 

6.公的年金と個人年金保険の比較⑥:保険料支払時の控除の違い

保険料支払時の税制メリットを比較してみたいと思います。

 

■国民年金の保険料控除

国民年金の保険料は、社会保険料控除として全額が所得控除となり、その分の所得税、住民税が安くなります。

 

■個人年金保険の保険料控除

個人年金保険にも個人年金保険料控除がありますが、控除額は最大で所得税が4万円、住民税が2.8万円です。

生命保険の保険料控除については、下記記事をご参照ください。
生命保険料控除とは?|確定申告や年末調整時の控除申告書の書き方

公的年金の保険料は社会保険料控除として、全額が所得控除になる点が非常にメリットが大きいポイントです。

 

 

 

7.公的年金と個人年金保険の比較⑦:年金受取時の税金の違い

年金受取時の税制メリットを比較してみたいと思います。

 

■国民年金

老齢基礎年金受取時には公的年金等控除があり、税制上、優遇されています。また、障害基礎年金や遺族基礎年金については、非課税で受け取れます。

 

■個人年金保険

個人年金保険の年金受取時には、国民年金のような税制上の優遇措置はありません

但し、死亡保険金には、以下の通り非課税枠があり、下記の非課税限度額までは、相続税が課税されません(相続税法第12条)。

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

生命保険の非課税限度額については、下記記事をご参照ください。
非課税限度額について勘違いが多いポイント

 

 

 

まとめ

上記の通り、公的年金(国民年金)には個人年金保険にはないメリットが色々とありますので、個人年金保険を検討する前にまずは国民年金の保険料を納めることが重要です。

実は、そもそも国民年金に加入するかどうかの選択肢はありません。日本国内に住む20歳以上の人はすべて公的年金制度への加入が義務づけられており、強制加入の制度になっています。

但し、国民年金の給付だけでは、老後保障として足りない可能性が高いので、個人年金保険等を利用して老後の準備をする必要があります。

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最終更新日:2018年11月15日
No.275

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