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生命保険の加入時には健康診断や医師の診査が必要?

「生命保険に加入するには必ず健康診断医師の診査を受けなければならないのか?」という質問を頂くことがあります。

実は、生命保険に加入する際に必ずしも健康診断や医師の診査が必要なわけではありません。また、無告知、無診査の無選択型商品もあります。

では、どのような場合に健康診断や医師の診査が必要になるのでしょうか?

1.告知義務とは?

生命保険や医療保険に加入する際、被保険者(保障の対象者)や契約者には、健康状態、過去の病歴、身体の障害、現在の職業等を保険会社に知らせる義務があります。これを「告知義務」といいます。

生命保険は沢山の人が保険料を出し合って、万一の際には相互に保障しあう制度です。

基本的に同性・同年齢であれば保険料は同じです。従って、危険な職業の人や健康状態の悪い人を無条件に加入させると一般の方より保険金を受け取る可能性が高くなるので、一般の方との保険料負担が公平ではなくなります。

よって、生命保険の契約の際には過去の傷病歴、現在の健康状態、身体の障害、現在の職業等を告知してもらう必要があります。

告知の方法は、保険会社からの質問事項にありのままに正確にもれなく答えることになります。以前は「自発的告知義務」といって契約者や被保険者から契約に関する重要な事項を自発的に告知することが義務付けられていました。

しかし、2010年4月1日から新しい保険法が施行され、保険会社が告知を求めた事項にのみ正しく答えればよいという「質問応答義務」に変わりました。

告知の方法には下記のような方法があります。どの方法が選択できるかは保険種類や保険金額等によって異なります。

 

 

 

2.告知書扱い

告知書扱い」とは、生命保険や医療保険の加入申込の際、被保険者(保障の対象者)本人に告知書の告知欄に入院や手術などの病歴や健康状態を記入してもらうだけの方法です。

告知書扱いの場合、健康診断や医師の診査は不要です。告知書にある質問事項に回答する形で記入します。

がん保険や医療保険、保険金額(保障額)が小さい死亡保険等で告知書のみでの申込手続が可能です。

主な申込手続きの際に必要となる告知項目は下記の通りです。

主な告知項目

・生年月日
・身長
・体重
・職業
・過去の傷病歴
・身体の障害 等

例えば、死亡保険の場合、30歳男性であれば保険金額3,000万円までは、医師の診査なしで告知書扱いが可能というように保険会社ごとに告知書扱いで加入できる基準が定められています。

なお、「告知書扱い」の場合、被保険者が保険会社からの告知に関する質問に答えるだけなので、持病がある方でも病歴や健康状態等を告知しなければ、生命保険や医療保険に加入できてしまいます。

しかし、故意または重大な過失で、事実を告知しなかったり、事実と異なる告知をした場合、「告知義務違反」となります。

告知義務違反が判明した場合、保険金・給付金が受け取れず、保険契約が解除される場合がありますので、ご注意ください。
告知義務違反で生命保険が解除とならないための注意点4つ

 

 

 

3.健康診断書扱い

健康診断書扱い」とは、被保険者(保障の対象者)の告知とともに、被保険者が市町村や勤務先で受診した健康診断や特定健診、人間ドックの結果を利用する方法です。健康診断書扱いの場合、医師の診査は不要です。

保険金額や年齢によって胸部エックス線や心電図等の必要な検査項目が異なります。ある保険会社の健康診断結果等のコピーに記載が必要な項目例は下記の通りです。

  1. 受診者名
  2. 総合判定
  3. 健康診断実施日
  4. 健康診断実施医療機関名
  5. 身長・体重
  6. 血圧
  7. 尿検査(蛋白、糖)
  8. 胸部X線

なお、健康診断結果等のコピーはいつのものでもいいわけではありません。健康診断などの受診日は告知日からさかのぼって1年2か月以内などの期限があります。

また、検査結果によりますが、健康診断書等の提出によって保険料が割引になる生命保険や医療保険もあります。

 

 

 

4.生命保険面接士扱い

生命保険面接士扱い」とは、被保険者(保障の対象者)の告知とともに、生命保険面接士が被保険者と面談を行い、告知や健康状態等を確認する方法です。

生命保険面接士とは?

生命保険面接士とは、生命保険協会が行う資格試験に合格し、認定された者をいいます。生命保険面接士の認定を受けるのに医師の資格は必要ありません。

保険会社によっては、生命保険面接士扱いがない会社もあります。

なお、生命保険面接士には告知受領権がないことに注意が必要です。生命保険面接士に口頭で病気のことなどを話しても告知したことにはなりません。

病歴や健康状態を告知する場合には、口頭ではなく、保険会社所定の告知書に告知する必要があります。
生命保険の営業マンに告知を受ける権限はない!?
告知義務違反が心配な場合の対処方法とは?

 

 

 

5.医師扱い

被保険者(保障の対象者)の告知とともに医師による診査を行う方法です。

診査医には、生命保険会社の職員である「社医」と、生命保険会社が委託している「嘱託医」があります。診査内容には下記のような項目があります。

  • 血圧
  • 尿検査
  • 心電図
  • 血液検査

どの項目が必要かは保険金額(保障額)等によって異なります。

例えば、30歳男性の場合、保険金額4,000万円を超える死亡保険等は、医師の診査が必要などと基準が定められています。契約する保険金額が大きくなると、心電図や血液検査が必要など、診査項目が増えます。

尚、ライフネット生命のように医師の診査がなく、原則、告知のみで保険の申込が可能な保険会社もあります。

 

 

 

6.告知や医師の診査が不要な生命保険

生命保険や医療保険の中には医師の診査や健康状態等の告知の必要がない「無選択型」の商品もあります。

無選択型」は医師の診査や告知が不要なので、持病があって健康状態が悪くても加入できるメリットがありますが、逆に下記のようなデメリットがあります。

  • 医師の診査や告知が必要な一般的な商品に比べて保険料が割高
  • 契約日から2年間等の一定期間、病気により死亡した場合の保険金額が削減される
  • 契約できる保険金額が少額 等

健康状態が悪くても加入できる反面、上記のようなデメリットが「無選択型」の商品にはありますので、加入時には注意が必要です。

「無選択型」の商品についての詳細は、下記記事をご参照ください。
医師の診査や告知なしで生命保険に加入できる?

尚、持病があっても加入できる可能性がある告知すべき項目が少ない「引受基準緩和型」の商品もあります。
持病があっても入れる緩和型医療保険・生命保険とは?

 

 

 

7.生命保険の診査と審査

生命保険の加入時には、診査審査があり、この両者を混同している方がいます。診査と審査にはどのような違いがあるのでしょうか。

 

・生命保険の診査とは?

生命保険の診査とは、上記の通り、社医または嘱託医により、血圧などの各種検査等を行い被保険者(保障の対象者)の健康状態の診断を行うことをいいます。

 

・生命保険の審査とは?

保険会社は申込書と告知書などから受け取った情報をもとに契約の引き受けが可能か審査を行います。契約者間の公平性を保つため、職業や身体の状態などによって契約の引き受け可否を判断します。

なお、審査基準は保険会社によって異なり、その基準は非公開となっています。

 

 

 

まとめ

上記の通り、商品や年齢、保険金額等で選択できる告知の方法は異なります。必ずしも健康診断や医師の診査が必要になるわけではありません。

また、ご注意頂きたいのは、保険の営業(募集人)や生命保険面接士には告知受領権はありません。例えば告知書扱いの場合、健康状態等は告知書に記入しなければ、告知したことにはなりません。

保険の営業(募集人)や生命保険面接士に口頭で健康状態等を伝えただけでは、告知に該当しませんので、ご注意ください。

逆に保険会社指定の診査医の場合は、告知受領権がありますので、医師に話した内容は告知したことになります。

最終更新日:2019年1月19日
No.215