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告知義務違反で生命保険が解除とならないための注意点4つ

生命保険や医療保険、がん保険等に加入する際には、現在の健康状態や病歴等の告知が必要になります。告知すべき項目が漏れていたら、告知義務違反で契約を解除される可能性もあります。

意図的に病歴や健康状態を隠すつもりはなくてもうっかり告知が漏れてしまう場合もあると思います。

そこで、今回は生命保険や医療保険などの申込時に告知義務違反を防ぐためのポイントについて解説します。

今回の記事を読み、告知の重要性や告知義務違反を問われないためのポイントについてご理解いただければと思います。

1.告知の重要性

生命保険は沢山の人が保険料を出し合って、万一の際には相互に保障しあう制度です。相互扶助の制度を維持するためには、契約者間の公平を保つ必要があります。

基本的に同性で同年齢であれば保険料は同額です。従って、危険な職業の人や健康状態の悪い人を無条件に加入させると保険金を受け取る可能性が高くなるので、一般の方との保険料負担が公平ではなくなります。

よって、契約の際に契約者や被保険者の過去の傷病歴(傷病名・治療内容・入院期間等)、現在の健康状態、身体の障がい状態、職業等について保険会社からの質問事項に事実をありのままに正確にもれなく答える「告知」が重要となります。

 

 

 

2.生命保険の告知事項|告知はどこまでするべき?

生命保険を契約する際に契約者、被保険者(保障の対象者)には、被保険者の健康状態や過去の病歴等の保険会社が契約を引き受けるかを判断するための重要な事実を告知する義務があります。これを「告知義務」といいます。

主な告知項目は下記の通りです。

主な告知内容

・生年月日
・身長
・体重
・職業
・過去の傷病歴
・身体の障害   等

生命保険の告知はどこまで行う必要があるのでしょうか?

告知は、保険会社からの質問事項にありのまま、正確にもれなく答える必要があります。

以前は「自発的告知義務」といって契約者や被保険者から契約に関する重要な事項を自発的に告知することが義務付けられていました。

しかし、2010年4月1日から新しい保険法が施行され、保険会社が告知を求めた事項にのみ正しく答えればよいという「質問応答義務」に変わりました。

つまり、告知は生命保険会社所定の告知書にある質問事項に答えればよく、告知書の質問以上のことを告知する必要はありません。

 

 

 

3.告知義務違反とは?|告知義務違反がばれると生命保険契約は解除になる?

「告知」は重要であるため、故意または重大な過失によって、事実を告知しなかったり、虚偽(ウソ)の告知した場合、責任開始日(復活の場合は復活日)から2年以内であれば、保険会社は「告知義務違反」として契約または特約・特則を解除することがあります。

契約を解除されると保険金や給付金を受け取れなくなり、保険料払込免除の事由に該当しても払込免除を受けられません。

なお、告知義務違反によって契約が解除になった場合でも解約返戻金があれば契約者に払い戻されます。

 

 

 

4.告知義務違反の時効は2年?

「告知義務違反の時効は2年ですか?」という質問を頂くことがあります。保険法では、生命保険契約の締結の時から5年を経過すると保険会社の契約解除権は消滅するとされています。

また、約款では告知義務違反が判明した場合、責任開始日(復活の場合は復活日)から2年以内であれば、保険会社は契約を解除するとしています。

では、どんな場合でも責任開始日(復活の場合は復活日)から2年が経過すれば、保険会社は契約を解除できなくなるのでしょうか?

実は、責任開始日(復活の場合は復活日)から2年が経過していても告知義務違反の内容が特に重大な場合は、保険会社は契約を取り消すことができます

例えば、がんで治療を受けているのにそのことを隠して告知しなかった場合などは、責任開始日から2年が経過していても契約が取り消される可能性があります。

契約が取り消された場合、それまでに支払った保険料は戻ってきません。

 

 

 

5.告知義務違反を防ぐための注意点

うっかり告知が漏れてしまい、「告知義務違反」とならないための注意点を4つご紹介します。

 

①生命保険の営業マン・営業レディーに告知受領権はない!

実は、生命保険の募集人(代理店)や生命保険面接士には、告知受領権がありません。よって、生命保険の営業マンや営業レディー、生命保険面接士に口頭で健康状態や病歴等を話しても、その内容を告知書に記入していない場合には、告知したことにはならず、告知漏れとなってしまうのでご注意ください。

一方、診査医には告知受領権がありますので、健康状態や病歴等を担当医師に口頭で話しても問題はありません。

告知受領権の詳細については、下記記事をご参照ください。
生保営業マンに告知を受ける権限はない!?
損保代理店には告知受領権があります!

 

②告知の要否を自分で判断しない

先述の通り、告知の際には過去の病歴や現在の健康状態などの事実について、ありのままを漏れなく告知する必要がありますが、実は告知しなくても良いケースもあります。

告知が不要な主なケースは以下の通りです。

・歯科医院での虫歯の治療
・水虫の治療
・完治したかぜ、インフルエンザ
・入院または入院予定のないアレルギー性鼻炎
・医師の処方によらない市販薬(かぜ薬・ビタミン剤・サプリメント等)の服用
・ニコチン依存症による禁煙治療 等

上記の通り告知が不要なケースもあるのですが、告知の要否については、保険会社ごとに異なる場合があるので、告知する必要があるのか迷った場合には、ご自身で判断せず、保険会社や代理店に確認してください。
生命保険や医療保険加入時に告知しなくてもいい場合がある!?

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③生命保険や医療保険などの申込手続時に告知が漏れてしまった場合

申込手続きが完了した後に告知すべき項目を思い出すようなこともあると思います。そのような場合には、そのままにせず、保険会社のコールセンター等にその旨を伝えて下さい。

告知漏れをそのままにしておくと「告知義務違反」となる可能性がありますので、再度告知し直す必要があります。

 

④不告知教唆があった場合

「その内容を告知したら引受謝絶になるから告知しないで下さい」と告知しないことを依頼する営業職員や募集人(営業担当)も稀に存在します。事実を告げないことをすすめる行為を不告知教唆といいます。

上記のような場合、それに従わない方がいいことはもちろんですが、申込時にはそれに従ってしまい、後で不安になったよう場合にも保険会社のコールセンター等にその旨をご連絡ください。

生命保険募集人や営業職員が保険契約者等の告知を妨害したり、保険契約者等に対して告知義務違反を勧めたりした場合、保険会社は契約を解除できないとされていますが、不告知教唆を証明するのは簡単ではないでしょう。

 

 

 

6.告知事項があったとしても必ず引受謝絶になるわけではない

生命保険や医療保険等の申込の際に1つでも健康状態や病気・ケガ等に関する告知があると、加入できないと勘違いされている方がいますが、そんなことはありません。

生命保険や医療保険等の引受には以下のような方法あります。

①無条件で契約を引受ける
②特別な条件付(特定部位不担保等)で契約を引受ける
③契約を断る(引受謝絶)

傷病歴等の告知があっても、その内容によっては、無条件での引き受けになることもありますし、特定疾病不担保保険金削減などの特別な条件をつけて保険会社が契約を引き受ける場合もあります。

特定疾病不担保等の特別条件の詳細については、下記記事をご参照ください。
特別条件付き契約とは?|緩和型医療保険・生命保険との違い

 

 

 

7.告知はなるべく細かく

告知の内容があいまいだと、保険会社としては悪い方に判断します。細かく告知すると、その分、保険会社もリスクを判断しやすくなるので、告知の内容にもよりますが、引受の可能性が高くなります。

例えば、生命保険加入の際に大腸ポリープ切除という告知をしたとします。

それだけでは、そのポリープが良性か悪性かも分からないですし、ポリープの大きさも分かりません。保険会社としては分からないことはリスクですので、詳細な内容の告知がない場合は、引受謝絶となる可能性もあります。

しかし、ポリープの大きさや個数、良性であるのであれば、良性と細かく告知すれば、無条件での引受の可能性も高まります。

 

 

 

まとめ

告知は生命保険や医療保険等において非常に重要となります。告知漏れや虚偽の告知があった場合、保険料を支払っていても肝心な時に契約が解除になって、必要な保障が受けられない可能性があります。

告知の重要性を理解して頂き、告知内容につてい不安なことがあれば、保険会社にお問い合わせください。

最終更新日:2019年4月29日
No.285