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損害保険の募集人(代理店)には告知受領権があります!

生命保険の告知に関しては代理店や営業マン(募集人)に告知受領権はないと下記記事で解説しましたが、損害保険(自動車保険や火災保険など)の場合は逆で代理店や営業マンに告知受領権があります。
生命保険の告知は口頭ではなく、告知書の記入が必要!?

生命保険の場合は、健康状態などの告知を営業マン(生命保険募集人)に口頭で伝えただけでは、告知したことにはなりませんが、損害保険の場合には、営業マン(損害保険募集人)に口頭で伝えたことも告知に該当します。

生命保険では健康状態を申告する告知に馴染みがあると思いますが、「損害保険(自動車保険や火災保険など)の告知事項って何?」と疑問に思う方もいると思います。

今回は損害保険の告知について解説します。損害保険においても告知事項は重要で補償の有無に関わってきますので、今回の記事を読んで告知について知って頂ければと思います。


1.告知受領権とは?

告知受領権とは、告知を受ける権利です。

冒頭でご説明した通り、生命保険の営業マン・営業レディー(募集人)には、告知受領権はありません。

生命保険の場合、告知受領権があるのは、診査医と保険会社だけです。生命保険募集人や生命保険面接士には告知受領権はありませんので、口頭で健康状態などを伝えても告知したことにはなりません。

一方、損害保険の募集人には告知受領権があります。

 

 

 

2.告知事項とは?

損害保険の告知事項は、危険(保険給付事由の発生の可能性)に関する重要な事項のうち、保険会社が告知することを求めた事項です。申込書に記載することによって告知します。

契約者または被保険者は、保険会社から告知を求められた事項について、事実を正確に告げなければならないことが、約款に「告知義務」として記載されています。

 

 

 

3.告知義務とは、聞かれたことに答えればOK

告知義務というと難しく聞こえますが、実は保険会社(代理店)が告知事項として聞いてきたことに対して正確に答えればいいだけです。

従来の商法では、告知義務は「自主申告義務」で、契約者や被保険者が保険会社に対して契約に関する重要な事項を自発的に告知することが義務付けられていました。

しかし、何が「重要な事実」であるかを契約者が判断することは困難です。

よって、2010年4月1日から新しい保険法が施行され、契約者や被保険者が契約締結にあたり、保険会社が告知を求めた事項に対して、正しく事実を告げる義務「質問応答義務」に変わりました。

これは以前の記事でご紹介した通りで生命保険も損害保険も同じです。
生命保険の告知は口頭ではなく、告知書の記入が必要!?

 

 

 

4.損害保険の告知事項とは?

さて、損害保険における告知事項とはどのような項目でしょうか?損害保険の告知事項とは、下記のような項目です。

 

1)自動車保険の告知事項

記名被保険者(主に車を使用する方)の住所、名前、生年月日、免許証の色、車の初度登録(初度検査)年月、他の保険契約等 など

 

2)火災保険の告知事項

所在地、物件種別、耐火基準、柱(建物構造)、建物区分(一戸建住宅/共同住宅)、他の保険契約等 など

 

3)傷害保険の告知事項

被保険者の職業・職務、他の保険契約等 など

保険会社では、告知事項が明確に分かるように、申込書に「★」や「※」等の印を表示していますし、パンフレットを見れば告知事項についての記述があります。

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5.告知義務違反をすると、どうなる?

保険料を算出するうえでも重要になる告知事項について虚偽の申告をすると、生命保険同様、損害保険でも告知義務違反となります。

故意または重大な過失によって正しく告知を行わなかった場合には、告知義務違反となり、契約が解除され、保険金が支払われない可能性があります。

 

 

 

6.通知事項とは?

告知事項とは別に通知事項というものも存在します。

通知事項とは、告知事項のうち、契約後に保険会社が通知することを求めている事項です。変更があった場合には遅滞なくその事実を通知する義務があります。これを通知義務といい約款に記載されています。

通知事項には下記のようなものがあります。

 

1)自動車保険の通知事項

被保険自動車の用途車種、登録番号の変更、被保険自動車の使用目的の変更  など

 

2)火災保険の通知事項

建物の構造・用法の変更、家財の他の場所への移転  など

 

3)傷害保険の通知事項

被保険者の職業・職務の変更  など

 

 

 

7.通知義務違反をすると、どうなる?

通知事項は変更があると保険料の増加(危険の増加)する可能性のある事項です。よって、故意または重大な過失によって遅滞なく通知を行わなかった場合には、通知義務違反となります。通知義務違反となると、契約が解除されたり、保険金が削減される場合がありますので、注意が必要です。

 

 

 

まとめ

損害保険の場合には代理店に告知受領権がありますので、代理店の営業マン(募集人)等に告知事項を話した場合はそれで告知をしたことになります。

生命保険とは異なる点です。生命保険の場合は代理店に告知事項を話しただけでは告知したことにならないのでご注意ください。

生命保険でも損害保険でも告知は非常に重要です。告知漏れや告知義務違反が発生しないようご注意ください。

今回は、告知事項や通知事項についてご紹介しましたが、告知事項や通知事項などと小難しく考えず、住所等の変更が発生した場合には出来るだけ速やかに代理店や保険会社に連絡するようにして頂ければと思います。

最終更新日:2019年8月4日
No.169