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一時払い終身保険とは?相続対策に使える?

最近、注目されている商品である一時払終身保険をご存知でしょうか。一時払い終身保険は、ほぼ「保険料=保険金額(保障額)」です。

一見すると、一時払い終身保険に加入することにどのような意味があるのかと思われると思いますが、相続対策に有効な商品です。

一時払い終身保険とは、どのような特徴のある商品なのか?また、どのように相続対策に使えるのかについて解説します。

一時払い終身保険のデメリットについてもご紹介しますので、今回の記事を読めば、一時払い終身保険に加入する災の参考にして頂けます。

1.一時払い終身保険とは?

一時払い終身保険とは、保険料の払い込みが契約時の1回だけで、一生涯の死亡保障を確保できる死亡保険です。

例えば、保険金額(保障額)1,000万円の一時払終身保険に加入しようと思えば、一時払い保険料は約1,000万円になるというこになります。

一時払い終身保険は解約時に解約返戻金が受け取れるので、運用商品として注目されていたこともありますが、最近では、日銀の金融緩和の影響で予定利率も下がり、運用商品としての魅力は下がっています。

また、マイナス金利政策の影響もあり、円建ての一時払終身保険の販売を停止する保険会社が増えています。現在では、日本生命や明治安田生命など一部の保険会社でしか販売されていません。
一時払終身保険の予定利率が下がると保険料が上がる?

円建ての一時払い終身保険の予定利率が低いため、予定利率が高い外貨建て(米ドルや豪ドルなど)の一時払い終身保険が注目されています。

外貨建ての一時払い終身保険は、銀行などですすめられることが多いですが、為替のリスクは契約者が負うことになります。外貨ベースでは、返戻率が高い一時払い終身保険でも、為替の状況によっては元本割れの可能性もあるので、加入の際には注意が必要です。

 

 

 

2.告知や医師の診査が不要の一時払い終身保険がある?

一般的に生命保険は、高齢の方や持病がある方等は、加入が難しくなります。しかし、一時払終身保険については、無告知、無診査、更に加入可能年齢も90歳までという商品もあります。

健康告知が不要な一時払い終身保険であれば、高齢の方で持病があるような方の相続対策にも活用することが可能です。

 

 

 

3.生命保険の非課税限枠(相続税法第12条)の活用

生命保険や損害保険の死亡保険金には下記の非課税限度額があり、相続人が受け取った死亡保険金については非課税限度額まで相続税は課税されません。

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

例えば、高齢の方で生前贈与などの時間がかかる相続対策をしている余裕がないというような場合には、上記の通り、生命保険には90歳まで加入可能な商品もありますので、生命保険を活用すれば即座に非課税限度額分の相続税対策が可能になります。

死亡保険金の非課税限度額の詳細な内容については、下記記事をご参照ください。
死亡保険金の非課税限度額について勘違いが多いポイント

 

 

 

4.生命保険であれば相続時に財産を渡したい人に渡せる

死亡保険金は、民法上の相続財産ではなく、受取人固有の財産とされています。よって、一時払終身保険等の死亡保険金は遺産分割の対象となる相続財産に含まれませんので、財産を渡したい人がいるのであれば、その人を受取人に指定することにより原則、保険金額分の財産を渡すことができます。

但し、保険金額の相続財産に占める割合等によっては、特別受益として遺産分割時に持ち戻しの対象となる可能性もありますので、その点には注意が必要です。

【最高裁判決 平成16年10月29日】
死亡保険金は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産(特別受益財産)には当たらないと解するのが相当である。
もっとも、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である。

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5.生命保険は相続放棄時にも受け取れる

相続とは被相続人(亡くなった方)の一切の権利義務を継承することになります。つまり、土地や現金等のプラスの財産だけでなく、借金等のマイナスの財産も引き継ぐことになります。

プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合、相続放棄も選択肢の1つとなる可能性があります。相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)のプラスの財産やマイナスの財産の全てを放棄し、一切の財産を相続しない方法です。

上記の通り、死亡保険金は民法上の相続財産ではありませんので、仮に相続放棄をした場合でも死亡保険金については受け取ることが可能です。

借金も多く、相続人が相続放棄をする可能性があるのであれば、生命保険に加入することにより、保険金額分の財産を遺すことが可能です。

 

 

 

6.生命保険は、すぐに現金化できる

通常、預貯金は口座名義人である被相続人が亡くなると口座が凍結され、預貯金を引き出すことができなくなります。一般的に凍結され預貯金は、遺産分割協議が調わないと引き出すことはできません

しかし、生命保険は保険金請求書等の書類が揃えば、通常、5営業日程度で死亡保険金を受け取ることが可能です。死亡保険金請求時に遺言書や遺産分割協議書は不要です。

また、保険会社によっては、死亡保険金を請求すると即日で保険金を受け取れるサービスを提供している会社もあります。
死亡保険金を請求したその日に受け取れる!?

 

 

 

7.一時払い終身保険にデメリットはないのか?

上記の通り、相続対策に有効な一時払い終身保険ですが、メリットばかりでデメリットはないのでしょうか?

一時払い終身保険のデメリットは、早期解約時には解約返戻金が払い込んだ保険料を割り込む元本割れが発生する点です。円建ての一時払い終身保険は予定利率が低いので、一時払いの保険料を解約返戻金が上回るまでに10年程度の時間がかかります。

例えば、相続対策のために一時払い終身保険に加入していた方が、急にお金が必要となり契約後早期に一時払い終身保険を解約する場合には、元本割れする可能性が高くなります。

また、外貨建ての一時払い終身保険の場合、外貨ベースで元本割れするだけでなく、為替のリスクもありますので、早期解約時には更に資金が目減りする可能性が高くなります。

上記のように一時払い終身保険には、元本割れの可能性があるので、加入時には途中解約の必要性が発生しないような老後資金計画が重要となります。

 

 

まとめ

上記メリットは、一時払い終身保険だけではなく、生命保険全般のメリットに該当するものも多くあります。

相続対策において生命保険は有効な武器になりますので、死亡保険金の非課税限度額分は生命保険に加入することを検討されてはいかがでしょうか?

一時払い終身保険であれば、被保険者(保障の対象者)が高齢であったり、持病があったりしても加入することが可能です。

最終更新日:2019年1月21日
No.213