医療保険やがん保険の受取人と税金の関係は?

2018年11月9日

死亡保険では重要になる保険金受取人ですが、医療保険やがん保険の入院給付金、通院給付金、手術給付金などの給付金受取人を意識されたことはあるでしょうか?

医療保険やがん保険の給付金受取人を指定した覚えがないという方もいらっしゃると思います。給付金は誰に支払われるのでしょうか?また、給付金を誰が受け取るかで課税関係は変わるのでしょうか?

受取人を決める際に気になる点は、給付金を受け取った際にどのような税金がかかるのかと支払った保険料は、年末調整や確定申告時に保険料控除の対象になるのか?だと思います。

今回は、医療保険やがん保険の給付金受取人と税金の関係について解説します。

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1.契約者・被保険者・受取人の違い

まずは、「契約者」「被保険者」「受取人」の違いから解説します。

 

・契約者

契約者とは、保険会社との間で保険契約を締結する当事者のことで、さまざまな権利や義務が発生します。

契約者の義務としては、保険料を支払う義務や住所が変わった場合などに保険会社に通知する義務などがあります。

契約者の権利としては、保険金額の減額、保険契約を解約する権利や保険契約を解約した際の解約返戻金を請求する権利などがあります。

 

・被保険者

被保険者とは、損害保険や生命保険の補償(保障)の対象となる人です。例えば、補償(保障)の対象となる被保険者が入院をすれば入院給付金、死亡すれば死亡保険金が契約内容に従って支払われます。

被保険者は契約者と同一人である場合もありますし、別人であることもあります。

 

・受取人

保険金受取人とは、保険事故発生の際に保険会社から保険金や給付金を受け取る人のことです。
契約者、被保険者、保険金受取人の違いを理解していますか?

 

 

 

2.医療保険の給付金受取人は被保険者

医療保険やがん保険の給付金受取人は原則、被保険者(保障の対象者)です。給付金の受取人は、約款上で被保険者本人と定められていることが一般的です。

つまり、入院給付金や手術給付金を受け取るのは、入院したり、手術を受けた被保険者本人ということになります。

医療保険やがん保険の目的は、入院費用や手術費用など、医療費を補てんするものなので、医療費のかかった被保険者本人に入院や手術などの給付金を支払うのが原則です。

給付金の受取人を被保険者以外の人に設定できる保険会社もありますが、給付金の受取人は、誰でも指定できるわけではありません。一般的には下記の方と決まっています。

・被保険者本人
・被保険者の配偶者
・被保険者の二親等以内の親族(子・親・兄弟姉妹・孫・祖父母)

 

 

 

3.給付金に税金は課税されるのか?

原則、医療保険やがん保険などの給付金(診断給付金、入院給付金、通院給付金、手術給付金など)に税金は課税されません。「身体の傷害に基因して支払いを受けるもの」には所得税法上非課税(所得税法施行令第30条第1号)とされています。
税金が非課税(課税されない)の保険金・給付金

しかし、給付金に税金が課税される場合もあります。給付金が非課税の場合、課税される場合の事例は下記の通りです。

 

非課税:被保険者本人が給付金を受取った場合

病気やけがを原因として、被保険者本人が給付金を受取った場合、金額にかかわらず非課税となります。

 

非課税:被保険者の配偶者が給付金を受け取った場合

被保険者が生存中に、被保険者の配偶者が給付金を受取った場合、金額にかかわらず非課税となります。

 

非課税:被保険者の直系血族、または生計を同じくする親族が給付金を受け取った場合

被保険者が生存中に、被保険者の直系血族、または生計を同じくする親族が給付金を受取った場合、金額にかかわらず非課税となります。

 

課税:被保険者が死亡後に給付金を受取った場合

被保険者が死亡後に親族などが給付金を受け取った場合、給付金は課税の対象となります。契約者・被保険者・受取人の関係で下表の通り課税される税金の種類が決まります。

税金の種類 契約者 被保険者 受取人
相続税(注1 A(例:夫) A(例:夫) B(例:妻)
贈与税(注2 B(例:妻) A(例:夫) C(例:子)
所得税(注3 B(例:妻) A(例:夫) B(例:妻)

(注1 相続税法 第3条1項1号、相続税基本通達5-5-(1)
(注2 所得税法 第34条
(注3 相続税法 第5条1項 相続税施行令 第1条の5、相続税基本通達5-5-(2)

なお、確定申告時に医療費控除を行う場合、かかった医療費から受け取った給付金を差し引く必要があります。

 

 

 

4.指定代理請求人が受け取った場合も非課税

指定代理請求制度とは、被保険者が受取人となる保険金や給付金等を請求できない「特別な事情(被保険者の意識がなかったり、請求の意思表示ができない場合など)」がある場合、契約者があらかじめ指定した代理人(指定代理請求人)が被保険者に代わって保険金や給付金等を請求できる制度です。
指定代理請求制度とは?

指定代理請求人が給付金を受け取った場合、課税されるのでしょうか?

指定代理請求人として配偶者、直系親族、生計を一にするそのほかの親族が給付金を受け取った場合も非課税となります。

 

 

 

5.保険料控除

医療保険の保険料は、「介護医療保険料控除」の対象として、年末調整や確定申告時に所得から控除でき、その分、所得税・住民税が安くなります。

医療保険の給付金受取人によって控除できるかどうかは異なるのでしょうか?

介護医療保険料控除(平成24年1月以降契約の場合)の対象となるのは、入院・通院等にともなう給付部分に係る保険料で、保険金受取人が、契約者かあるいは配偶者、その他の親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)である契約の保険料と決まっています。

上記以外の方が給付金の受取人となる場合には、介護医療保険料控除の対象にはなりません。
生命保険料控除とは?|確定申告や年末調整時の控除申告書の書き方

 

 

 

6.法人契約の医療保険の場合

法人が契約者である医療保険の場合はどうなるでしょうか?

法人を契約者として下記のような契約をしている場合の保険料や給付金の経理処理をご紹介します。

【契約例】

契約者:法人
被保険者:役員・従業員
給付金受取人:法人

上記の契約形態であれば、法人は保険料を経費として全額損金処理できます。

ただし、上記契約で法人が給付金を受け取った場合、給付金を雑収入として益金計上しなければなりません。

法人が受け取った給付金を役員や従業員に見舞金として支払う場合、社会通念上相当な額(5万円から10万円程度)であれば、その金額は法人の損金として計上できます。

また、見舞金が社会通念上相当な額であれば、役員や従業員は非課税で見舞金を受け取れます。

社会通念上相当な額を超えて法人が役員や従業員に見舞金を支払った場合、その超えた額は役員や従業員の給与扱いとなり課税の対象となります。

 

 

 

まとめ

医療保険の給付金や保険料についての税金の関係をご理解頂けたでしょうか?

給付金の課税、非課税について判断に迷う場合、後のトラブルを避ける意味でも税理士や所轄税務署に確認し、最終判断をするようにして下さい。

 

No.334

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