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生命保険や医療保険の保険金・給付金を減額すると保険料が下がる?

生命保険等に加入すると、契約時の内容で保険期間の最後まで継続するか、保険料の支払いが苦しい等の理由で継続できない場合は解約するしかないと勘違いされている方がいますが、生命保険は解約する以外にも「減額」するという方法があります。

減額」することによって保険料の負担を軽減することができます。

先日も保険期間30年の定期保険に加入される予定の方が「保険期間の途中で保険金額って減額できるの?」という質問をされました。

今回は保険金や給付金等の減額について解説します。保険金や給付金の減額の仕組みや、減額時の注意点について知って頂ければと思います。

1.保険金・給付金等の減額とは?

保険会社の所定の範囲内であれば、保険期間の途中でも主契約や特約の保険金、給付金等を減額することができます。

減額とは、保険金や給付金を減らすことです。例えば、保険金額3,000万円の終身保険を保険金額1,500万円に減らすことを減額といいます。減額すれば、保障が下がった分、保険料も安くなり、負担を下げることができます

生命保険は長期間加入する商品ですので、保険期間の途中で、加入当初に必要だった保障額が不要になったり、また、保険料の支払いが苦しくなることもあると思います。そのような場合に保険金額や給付金額を減額することもできます。

下記事例の通り、保険金だけなく、医療保険やがん保険の給付金も減額することが可能です。

【減額の例】
●保険金額5,000万円(契約時)の定期保険を保険期間の途中で保険金額3,000万円に減額する。
●入院給付金日額1万円(契約時)の医療保険を保険期間の途中で入院給付金日額5,000円に減額する。
●入院給付金日額1万円(契約時)のがん保険を保険期間の途中で入院給付金日額5,000円に減額する。

保険料の支払いが苦しい場合に負担を軽減する目的で保険金額を減額することも可能ですが、保険料負担を下げる方法には減額以外にも「払済保険」や「延長保険」等の方法があります。下記記事で詳細な内容をご説明していますので、ご参照ください。
保険料の支払いが苦しい場合の4つの対処法

 

 

 

2.所定の額を下回る保険金・給付金の減額はできない

生命保険会社や商品によって異なりますが、最低の保険金額、給付金額等を設定している場合があります。その所定の額を下回る減額はできません。

最低の保険金額、給付金額等は保険会社や商品によって異なる場合があります。例えば、終身保険であれば保険金額300万円、定期保険であれば保険金額700万円などです。上記保険金額を下回る減額はできません。

複数の保険商品を組み合わせて加入している場合、複数契約の合計額に最低保険金額が設定されていることがあります。例えば、日本生命(ニッセイ)では終身保険と定期保険を組み合わせて加入している場合、終身保険と定期保険の保険金額の合計が700万円を下回る減額はできません。

実際の最低保険金額の例については、日本生命(ニッセイ)の最低保険金額一覧をご参照ください。
保険金額を減額する場合等の最低保険金額

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3.生命保険を減額すると解約返戻金が受け取れる?

保険金額の減額は一部解約になり、減額した部分は解約したものとして取り扱われます。よって、減額部分に対応する解約返戻金があれば、それを受け取れます

終身保険等の解約返戻金があるタイプの商品を減額した場合、その減額部分に対応する契約返戻金を受け取ることができます。

例えば、加入している終身保険の解約返戻金が500万円あるとします。100万円のお金が必要な場合、加入している終身保険を解約するのではなく、100万円の解約返戻金が受け取れるだけ終身保険の保険金額を減額するということも可能です。

生命保険契約を解約すると保障は無くなってしまいます。減額であれば、必要な金額を受け取りつつ、保険金額(保障額)は減りますが保障を残すことが出来ます。

なお、お金が必要な場合には、解約や減額以外にも契約者貸付(解約返戻金の一定範囲内(70%~90%))を受けるという方法もあります。但し、貸付金には所定の利息(複利)が発生します。詳細な内容については、下記記事をご参照ください。
保険契約を利用してお金を借りる!?

 

医療保険やがん保険の給付金を減額した場合も解約返戻金が受け取れる?

医療保険やがん保険については、解約返戻金がないタイプの商品が一般的ななので、給付金を減額してもほとんどの場合、解約返戻金は受け取れないでしょう。

 

生命保険を減額して受け取った解約返戻金に税金はかかる?

減額して解約返戻金を受け取った場合、税金がかかり確定申告する必要があるのか、という疑問を感じる方もいると思います。

下記の通り、減額して受け取った解約返戻金が既払込保険料を超えるまで税金は課税されません。解約返戻金のうち既払保険料を超える部分が一時所得に該当し、所得税・住民税の課税対象となります。

「その収入を得るために支出した金額」には、既払保険料×減額部分の保険金額÷減額前の保険金額により算出する考え方もありますが、一時所得は臨時・偶発的な所得であることから、継続的に収入があることを前提とした按分方式は、その所得計算になじまないと考えられます。
むしろ、既払保険料の金額に達するまでの精算金については、その同額を「その収入を得るために支出した金額」とするのが相当であって、一時所得の収入金額=支出金額となり、所得は発生しません。
したがって、精算金のうち既払保険料を超える部分が一時所得となります。
(出典:国税庁タックスアンサー No.1755 Q2

 

 

 

4.主契約を減額すると特約も減額される場合あり

特約を付加している契約の場合には主契約の保険金、給付金を減額すると、特約の保険金、給付金も同時に減額されることがありますので、注意が必要です。また、特約が消滅する場合もあります。

 

 

 

5.保険金等の減額時の必要書類

保険金等の減額を行う場合には、以下の書類を保険会社に提出する必要があります。

・生命保険証券
・減額請求書
・公的証明書のコピー(運転免許証やパスポート等)
・印鑑証明書等

減額請求書については、保険会社に連絡すれば、郵送等で受け取れます。また、公的証明書のコピーや印鑑証明書等については、手続き内容によっては不要な場合もあります。

一部ネット生命保険会社では、減額の手続きがウェブサイト上で完結し、書類の郵送等が不要な場合もあります。

 

 

 

6.減額後も一定期間は契約を元に戻す「復旧」が可能

主契約や特約によっては減額を行った後に、一定の期間内(3年等)で所定の要件を満たせば、減額前の契約内容に戻すことが可能です。これを『復旧』といいます。

ただし、復旧する際には、診査または告知が必要となりますので、健康状態によっては、復旧できない場合があります。
生命保険は失効しても「復活」できる?「復旧」との違いは?

 

 

 

まとめ

生命保険や医療保険の保険料支払いが苦しい場合に「解約」以外にも、上記の通り「減額」という方法が選択できます。「解約」してしまうと、保障が無くなってしまいますが、「減額」であれば、保障額は減りますが、ゼロにはなりません。

加入している生命保険や医療保険等の契約について「こんな変更できるのか?」という疑問を持った際は、遠慮せずに保険会社や代理店に問い合わせてみて下さい。

生命保険は安い買い物ではなく、保障内容の見直しも必要となります。色々な疑問点等を気軽に相談できるFP(ファイナンシャル・プランナー)がいれば心強いのは間違いありません。
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最終更新日:2019年4月28日
No.201