火災保険の必要性|もらい火での類焼は賠償してもらえない!?

2019年2月6日

「隣家から火が出て、もらい火で類焼し自分の家が燃えた場合、火元の隣家から自分の家の損害を賠償(補償)してもらえるのか?」という質問を頂くことが多いのですが、どう思われるでしょうか?

また、自分は火事を起こすことはないから火災保険の必要性は低いと、加入しない方もいますが、それは正しい考え方なのでしょうか?

今回は、日本において火災保険の加入が必須である理由について解説します。

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1.隣家からのもらい火で火事、賠償(補償)してもらえる?

冒頭の質問に対しての回答は、「隣家から火が出て、もらい火で類焼し自分の家が燃えても原則、火元の人からは損害を賠償(補償)してもらえない」です。

驚いた方も多いかもしれませんが、日本には失火責任法(失火法)という法律があり、火を出し隣家を燃やしてしまっても『重大な過失』がない場合には、隣家に対して損害を賠償する責任はないことになっています。

 

 

 

2.民法709条と失火責任法(失火法)

本来、他人のモノを壊したり、他人にケガをさせてしまった場合には、その損害を賠償する責任が発生します。民法第709条には、故意または過失によって、他人のモノを壊したり、他人にケガをさせた場合、損害を賠償する責任が発生すると規定されています。

民法第709条
「故意または過失によって他人の権利を侵害したる者はこれによって生じたる損害を賠償する責めに任ず」

しかし、「失火の責任に関する法律」(失火責任法・失火法)には、下記の条文があります。

「民法第709条の規定は失火の場合にはこれを適用せず。但し失火者に重大なる過失ありたるときはこの限りにあらず」

つまり、日本では失火責任法があるので、火事を起こし、隣家を類焼させても、重大な過失がない限り、隣家に対して賠償する必要はないことになります。

失火責任法は明治32年に制定された古い法律です。当時は木造の家屋がほとんどだったので、一旦、火災が発生すると近隣の家屋に類焼することが多くあり、損害額は莫大になります。

よって、火災が類焼した場合、火元となった人間に莫大な損害額を賠償させるのは不可能なので、重大な過失(重過失)がなければ、類焼の責任を負わせないという趣旨で失火責任法(失火法)は制定されました。

 

失火責任法(失火法)の「重過失」とは?

さて、ここで1つ気になることは、失火責任法の中の『重大な過失(重過失)』の部分だと思います。重大な過失があると火元の人間に賠償責任義務が発生します。

過去の判例では、下記のような事例が重過失とみなされたケースがあります。

火災の原因が重過失とみなされたケース

(1)寝タバコにより火災を発生させた
(2)石油ストーブをつけたまま給油し、石油がこぼれて引火、火災を発生させた
(3)天ぷら油を火にかけたまま、その場を離れ、火災を発生させた

上記のような理由で火事を起こし、隣家を燃やしてしまった場合には、重大な過失(重過失)があるとして、隣家の損害を賠償する必要があります。

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3.賃貸住宅で火災を発生させたら賠償義務を負う?

賃貸マンションやアパートで火災を発生させた場合、失火責任法(失火法)によって重大な過失が無い限り隣家への賠償は不要ですが、大家さん(オーナー)に対して、借りている部屋を原状回復して返還する義務が無くなるわけではありません。

一般的に賃貸物件については、賃貸借契約で借主(部屋を借りている人)に原状回復義務が定められています。賃貸物件を出る際はオーナーに対して原状回復して部屋を返す義務があります。

火災を起こし、原状で部屋を返せない場合は、債務不履行(民法第415条)となり賠償する義務が発生します。

上記の通り、失火責任法(失火法)では重過失が無い限り、民法第709条は適用されないとなっていますが、民法第415条に失火責任法(失火法)の適用はありません

上記のようなオーナーへの賠償義務を補償するのが、「借家人賠償責任補償特約」です。この特約は火災保険に付帯(セット)できる特約です。原則、単独では契約できません。賃貸住宅に住んでいる場合は、火災保険に加入し、「借家人賠償責任補償特約」をセットすることをおすすめします。
借家人賠償責任補償特約は必要?

 

 

 

4.火災保険への加入は必須|おすすめの火災保険契約とは?

日本においては失火責任法(失火法)があるため、火災保険への加入は必須という結論に達します。

隣家から出火し、もらい火で自分の家に損害が発生しても、原則、賠償(補償)してもらえませんし、仮に隣家に重大な過失(重過失)があり賠償義務が発生したとしても住宅を修理するような大きな額の賠償ができず、「泣き寝入り」になる可能性があります。

よって、火事による自分の家の損害は、火災保険を契約し、火災保険の保険金で修理するしかありません。

自宅を所有しているか賃貸しているかで下記のような火災保険契約をおすすめします。

 

1)一戸建・マンションを所有している場合の火災保険契約

隣家から火が出て自宅まで類焼した場合、賠償してもらえない可能性があるので、建物家財に対して火災保険への加入は必須でしょう。

また、重過失によって自宅から火を出した場合に備えて、個人賠償責任保険(特約)、過失がない場合でも道義上の責任を果たすための類焼損害補償特約をセットした方がベターです。

 

2)賃貸マンション・アパートの場合の火災保険契約

賃貸マンションや賃貸アパートに住んでいて火事を出してしまった場合、大家さん(オーナー)へ借りている部屋を原状回復して返す義務があるため、火災保険(家財保険)+借家人賠償責任補償特約の契約が必須でしょう。
家財保険とは?|必要性や保険金額の目安を解説!

また、重過失によって自宅から火を出した場合等に備えて、個人賠償責任保険(特約)、過失がない場合でも道義的責任を果たすための類焼損害補償特約があった方がベターです。
 

 

5.火災保険の類焼損害補償特約と失火見舞費用

さて、ここまで隣家から出火して、もらい火で自宅が燃えてしまった場合、つまり被害者になった場合の話をしてきましたが、逆に自分が火元で隣家を類焼させてしまった場合にはどうなるでしょうか?

火災を発生させ、隣家に類焼した場合、重大な過失がなければ、賠償する義務は法律上ありませんが、道義上はどうでしょうか?「法律上、私には賠償する義務はありません!」と言い切れる方は非常に少ないと思います。

そのような場合に備えるために火災保険には、下記の特約と費用保険があります。

類焼損害補償特約

火災により類焼させ、他人の住宅や収容家財に損害を与えた場合、1億円を限度に保険金が支払われます。この特約には、自動車、通貨等が補償対象外となるなど、注意すべき点がいくつかあります。
類焼損害補償特約は必要か?

失火見舞費用保険金

失火により類焼させた場合、1被災世帯あたり20万円前後、1事故につき保険金額の20%程度を限度に見舞金が支払われます。支払われる金額や支払基準は保険会社によって多少、異なる場合があります。

失火見舞費用保険金」だけだと支払われるのが見舞金程度なので、隣家への類焼に備えるのであれば、「類焼損害補償特約」を付帯(セット)した方が安心でしょう。

 

 

 

6.火災保険とともに個人賠償責任保険も必要?

火災保険とともに契約しておくと心強い保険(特約)があります。それが、個人賠償責任保険(特約)です。

現在は、個人賠償責任保険単独で販売している会社はほとんど無いと思いますが、火災保険や自動車保険に個人賠償責任補償特約として付帯(セット)することが可能です。

個人賠償責任保険に加入していれば、重過失がある場合の類焼の損害賠償にも対応できますし、マンションに住んでいて、階下に水を漏らして損害を発生させてしまった場合等にも補償されます。

また、ご存知の方も多いと思いますが、自転車事故で相手にケガをさせた場合も個人賠償責任保険で補償されます。
自転車の事故で注目の個人賠償責任保険
自転車保険加入前に確認すべき6つのポイント

個人賠償責任保険(特約)は加入必須の保険(特約)といえるでしょう。

 

 

 

まとめ

自分の家から火災を出す事がないと断言できる方でも、隣家からの類焼や放火の可能性を考えると、火災保険の加入は必須でしょう。

また、上記でご紹介した個人賠償責任補償類焼損害補償特約等の各種特約についても、ご自分の状況を勘案のうえ、付帯を検討して頂ければと思います。

最終更新日:2019年2月6日
No.217

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