相続税の課税対象者は増えている?

2018年4月15日

2015年1月の相続税制の改正により相続税の課税対象者が増えているという話を聞いたことはないでしょうか。実際に相続税の課税対象者は増えているのか?また、自分や親の相続時には相続税が課税されるのかを気にされている方も多いと思います。

2015年1月にどのような相続税改正があり、改正前に比べてどのよう方が新たに相続税の課税対象になりやすいのかをご紹介します。


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1.相続税の基礎控除が4割圧縮

2015年1月の相続税改正で相続鵜税の基礎控除が4割圧縮されました。具体的には以下の通りです。

改正前:5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
⇓ 6割に圧縮
改正後:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
相続人数 1人 2人 3人 4人 5人
改正前 6,000万円 7,000万円 8,000万円 9,000万円 1億円
改正後 3,600万円 4,200万円 4,800万円 5,400万円 6,000万円
相続税は、相続財産が基礎控除を超えた場合に課税されますので、基礎控除が4割引き下げられることにより、改定前までは相続税の課税対象者にはならなかった方が新たに課税対象者になったり、課税対象財産から差し引ける基礎控除が引き下げられることにより、相続税額が改定前よりも増加する方が増えます。

つまり、「新たに相続税がかかる人」と「相続税が増える人」が増加することにります。

尚、2015年1月の相続税改正では、基礎控除の引き下げだけでなく、相続税の最高税率の引上げ等、税率構造の改正等もありました。詳細は国税庁の下記パンフレットをご参照ください。
相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

 

 

 

2.都心部の方は要注意!?

今回の相続税の改正で新たに課税対象となる可能性が高い方は、都心部に土地を持っている方です。東京や大阪等の都心部等は土地の評価額が高く、土地とその他の金融資産を含めた相続財産が相続税の改正によって基礎控除内に収まらなくなる方が多くなると予想されています。

 

 

 

3.二次相続時が危ない

夫婦の一方が亡くなり、その配偶者や子供等への相続を『一次相続』といい、その後、その配偶者から子供への相続を『二次相続』といいます。具体的には、夫が亡くなり、妻や子供への相続を『一次相続』、その後、妻が亡くなり、子供への相続を『二次相続』といいます。

実は、一次相続よりも二次相続時の方が相続税が課税される可能性が高くなります。その理由は、以下の通りです。

・一次相続には使えた配偶者の税額軽減が使えない
・二次相続時は相続人が1人減り、基礎控除が減る
・小規模宅地の評価の特例が使えない可能性がある

配偶者がいない二次相続時には配偶者の税額軽減は絶対に使えません。また、小規模宅地の評価減については、お子さんが自宅を持っている場合には、使用できません。

配偶者の税額軽減と小規模宅地の特例が使えないというダブルパンチで二次相続時には相続財産が基礎控除内に収まらず相続税が課税される可能性が高くなります。

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4.生命保険で相続税対策

生命保険の非課税枠(500万円×相続人の数)を活用すれば、相続税の納税は免れる可能性もあります。例えば、下記のような事例の場合、現金の一部を生命保険の死亡保険金で受け取るようにしておけば、相続税の納税を回避できます。

【事例】
土地・建物:3,000万円
現金:3,000万円
相続人:子供3人

上記事例で、現金の一部で一時払終身保険1,200万円に加入すると、生命保険の非課税枠内なので、その死亡保険金には相続税は課税されません(相続税法第12条)。

残りの財産は、土地・建物と現金を合わせて4,800万円なので、基礎控除内に収まり、相続税は課税されません。

【基礎控除】
3,000万円+600×3人=4,800万円

上記のように完全に相続税の納税を回避できる事例は多くないかもしれませんが、生命保険を活用すれば、非課税枠分の相続税を減らせることは間違いありません。

二次相続時には節税の手段が減るので、生命保険の非課税枠(相続税法第12条)は有効な節税の方法です。
一時払い終身保険の活用法

生命保険の非課税枠(相続税法第12条)については、下記記事もご参照ください。
死亡保険金の非課税限度額について勘違いが多いポイント

 

 

 

5.遺産分割には注意が必要

2015年1月の相続税改正によって、相続税の節税ばかりに注目が集まっていますが、相続時に重要なことは遺産分割だと私は考えています。

遺産分割について考えていないと、相続税の納税を回避できたとしても、遺産分割で相続人間でもめる「争続」になってしまう可能性があります。

例えば、小規模宅地の特例等を使えば、土地の評価を下げることができ、相続税の計算上は納税を免れるかもしれませんが、遺産分割時には土地は時価評価になります。相続税税の節税ばかり考慮していると、土地は時価で分割することになるので、遺産分割協議でもめる可能性もあります。

そもそも遺産分割がまとまらないと小規模宅地の特例は使えません。相続開始から10ヶ月以内に相続税は納税する必要があるので、それまでに遺産分割協議がまとまっていなければ、小規模宅地の特例は使えず、予定よりも多く相続税を納税することになります。

相続税の納税を回避できても遺産分割で揉めると意味はありません。相続税対策は、遺産分割にも気を配りながらの行う必要があります。

 

 

 

まとめ

相続税の改正で相続税の課税対象になる可能性が高い方は、まず、どの程度の相続税が課税されるかを把握してから対策されることをお勧めします。

相続税が増税になるという情報に煽られて、後悔するような相続対策に手を出さないように気を付けて頂ければと思います。

 

No.270

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