相続した空き家に火災保険は必要か?火災保険料を安くする方法は?

両親が亡くなるなどして住宅を相続しても、住まずに空き家の状態になっている方も多いと思います。相続により住む予定のない住宅を引き継ぐと、下記のような疑問を持つ方もいらっしゃると思います。

・相続した空き家に火災保険は必要か?
・そもそも空き家は火災保険に加入できるのか?
・空き家は地震保険に加入できるのか?
・空き家の火災保険料を安くする方法はあるのか?

今後、相続により親などから家を相続しても、そのまま空き家になる住宅が増えることが予想されています。今回の記事では、相続した家に住む予定がない場合、火災保険や地震保険などは、どのように考えればいいのかについて解説します。

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1.空き家に火災保険は必要か?

空き家に火災保険は必要なのでしょうか?

相続した空き家が火事で燃えてしまったとしても、修理したり、建て直したりするつもりはないから火災保険は不要と考える方も多いと思います。

しかし、空き家にも火災保険は必要です。

なぜなら、仮に空き家が燃えてしまい、全焼したとしても、その後の片付け費用が必要になるからです。

また、空き家の一部が燃えてしまった場合、そのまま放置できない可能性もありますので、解体が必要になり、その解体費用が必要となります。

火災保険に加入していれば、空き家が燃えてしまった場合の片付け費用や解体費用に火災保険の保険金を活用できます

火災保険は、建物や家財などの損害額に対して保険金が受け取れますが、その保険金を建物の修理や建て直しではなく、解体費用などに使うこともできます。

また、空き家の近隣の方に火事で迷惑をかけてしまった場合、失火法があるので、原則、近隣の方への賠償責任は発生しませんが、お見舞いの品などを持っていかなければならないこともあると思います。

そのような場合の費用として、火災保険で受け取った保険金を使うことができます。

火災保険に加入していなければ、建物が燃えた場合の解体費用や取り片付け費用、近隣の方へのお見舞いなどの費用は全て自腹で負担する必要があります。

 

・空き家は火事にならない?

また、空き家であれば、家の中で火を使うことがないので、火事になる可能性はないと思われる方もいるかもしれません。

しかし、空き家であっても隣家が火事になり、もらい火の類焼で燃えてしまうかもしれません。その場合、失火法があるので、原則、火元の隣家から損害額の賠償は期待できません
火災保険の必要性|もらい火での類焼は賠償してもらえない!?

更に、火事の原因としては、放火も考えられます。放火で空き家が燃えてしまっても、当然、片付け費用や解体費用はかかります。

上記のような理由から空き家でも火災保険への加入は必要といえます。

 

 

 

2.空き家も火災保険に入れる?

空き家でも火災保険が必要である理由を解説しましたが、そもそも空き家でも火災保険に加入できるのでしょうか?

空き家でも火災保険に加入することは可能です。ただし、空き家の管理状況によっては、加入できない可能性もあります。

また、空き家の状況によって火災保険料が割高になる場合があります。

 

・専用住宅物件となる場合

空き家に人が住んでいなくても住宅の中に家財が残っていて人が住める状態にあれば、専用住宅物件として火災保険に加入することが可能です。

 

・一般物件となる場合

空き家が管理されていない状態だと、住宅ではなく、店舗や事務所などと同じ扱いとなり、一般物件として火災保険に加入することになります。

 

・専用住宅物件と一般物件の火災保険料比較

一般的に、一般物件になると専用住宅物件として火災保険に加入するより保険料が割高になります。

専用住宅と一般物件の火災保険料比較は下記の通りです。

火災保険試算例
建物保険金額:2,000万円
保険期間:1年間
補償内容:火災・風災・水災・盗難
建物構造:鉄骨造
所在地:東京都

専用住宅物件(空き家)
構造:T構造
年間保険料:17,400円

一般物件
構造級別:2級
年間保険料:33,270円

上記の試算例では、同じ保険金額(補償額)でも一般物件の方が専用住宅物件に比べて2倍ちかい保険料になります。

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3.空き家は新型火災共済(都道府県民共済)の加入対象にならない?

実は、空き家は都道府県民共済の新型火災共済の加入対象になりません

都道府県民共済の新型火災共済で加入の対象となるのは、下記の通り、人が住んでいる住宅です。よって、空き家や別荘は、加入対象にはなりません

【新型火災共済の加入対象物件】

ご加入者やご加入者と生計を一にする親族(2親等内)が所有し、現在、人が住んでいる日本国内の住宅(貸している住宅も含む)
(出典:大阪府民共済

空き家に火災保険をかけたいのであれば、共済ではなく損害保険会社の火災保険を検討する必要があります。

 

 

 

4.空き家は地震保険に加入できない?

空き家でも火災保険に加入できると解説しましたが、地震保険にも加入できるのでしょうか?実は、空き家は地震保険に加入できる場合とできない場合があります。

専用住宅物件として火災保険に加入した空き家の場合、地震保険に加入することが可能です。

一方、空き家が一般物件として扱われる場合、地震保険に加入することはできません

そもそも、地震保険の対象となるのは住宅物件で、一般物件の火災保険には地震保険を付けることはできないからです。

 

 

 

5.空き家の火災保険料を安くする方法

空き家に火災保険が必要なことは分かったが、修理や建て替えるつもりのない空き家に対して火災保険料などの費用をなるべくかけたくないという方も多いでしょう。

そのような場合に火災保険を安くする方法がいくつかあります。

 

・火災保険の保険金額(補償額)を下げる

火災保険で設定できる建物の補償額(保険金額)には幅があります。

例えば、建物の評価額が2,000万円の場合、補償額(保険金額)は評価額の±30%(1,400万円~2,600万円)程度の範囲内で設定できます。

建物の評価額が2,000万円の場合には、設定できる下限の1,400万円で火災保険の補償額(保険金額)を設定すれば、保険料が下記の通り安くなります。

火災保険試算例
保険期間:1年間
補償内容:火災・風災・水災・盗難
建物構造:鉄骨造(T構造)
所在地:東京都

建物保険金額2,000万円
年間保険料:17,400円

保険金額1,400万円
年間保険料:12,180円(-5,220,円)

なお、評価額を不当に低く設定するなどして、補償額(保険金額)を低く設定すると、一部保険となり、火災などが発生した場合に十分な補償を受けられない可能性がありますので、注意が必要です。
火災保険の保険料を払い過ぎていませんか?(超過保険)

 

・約定付保割合を下げる

約定付保割合(やくじょうふほわりあい)を下げることにより、火災保険料を下げることもできます。

約定付保割合とは、価額協定特約を付帯する場合などに評価額に対してどれだけ補償を付けるかという割合のことをいいます。

例えば、上記評価額が2,000万円の建物に対して、補償額は30%でいいという場合、約定付保割合を30%として、補償額を600万円にすることが可能です。

約定付保割合を設定した火災保険例は下記の通りです。

火災保険試算例
建物保険金額:2,000万円
保険期間:1年間
補償内容:火災・風災・水災・盗難
建物構造:鉄骨造(T構造)
所在地:東京都

約定付保割合100%
年間保険料:17,400円

約定付保割合50%
年間保険料:14,440円

約定付保割合10%
年間保険料:7,900円

上記の通り、約定付保割合を下げると、補償額は下がりますが、保険料は補償額を下げた割合ほど下がりません。

例えば、約定付保割合を50%に下げると、補償額は2,000万円から1,000万円へと半分に下がりますが、保険料は17,400円から14,440円へと半分にはなりませんので、注意が必要です。

 

・長期契約にする

火災保険を長期契約することにより、保険料が割引になります。住宅物件の場合、火災保険は最長10年間の長期契約が可能です。

1年契約と5年、10年契約の火災保険料の差額は下記の通りです。

火災保険試算例
建物保険金額:2,000万円
保険期間:1年間
補償内容:火災・風災・水災・盗難
建物構造:鉄骨造(T構造)
所在地:東京都

保険期間1年
年間保険料:17,400円

保険期間5年
一括保険料:76,560円

保険期間10年
一括保険料:135,320円

上記の通り、10年契約の場合、1年契約を10年間続けるよりも3万円以上、保険料が安くなります。

なお、10年分や5年分の保険料を一括で支払う余裕がないという場合、保険期間5年以内であれば、下記の通り長期契約の保険料を年払いで支払うことも可能です。

保険期間1年
年間保険料:17,400円

保険期間5年
年払保険料:16,180円

保険期間を1年から5年契約の年払いにするだけで、年間の保険料が1,000円以上も安くなります。
火災保険を長期契約にして保険料節約

なお、年払いに比べて割引率は落ちますが、長期契約の火災保険料を月払いで支払うことも可能です。

 

 

 

6.空き家にも個人賠償責任保険や施設賠償責任保険が必要

空き家の場合、常に万全の管理ができるわけではないので、管理不備などにより、他人にケガをさせてしまったり、他人のモノを壊してしまったりするケースがあると思います。

例えば、瓦が落ちて通行人に当たってしまったり、車に当たってしまったような場合です。そのようなケースに備えて、個人賠償責任保険や施設賠償責任保険にも加入しておいた方がいいでしょう。

個人賠償責任保険施設賠償責任保険に加入しておけば、空き家が原因で他人にケガをさせてしまったり、他人のモノを壊してしまった場合の賠償責任が補償されます。

具体的には、ケガの治療費や車の修理費などが、個人賠償責任保険や施設賠償責任保険から支払われます。

空き家が住宅物件となる場合、火災保険に個人賠償責任補償特約がセットできます。一方、空き家が一般物件となる場合、個人賠償責任補償特約はセットできないので、施設賠償責任保険を特約などで契約することになります。

なお、既に自動車保険などに個人賠償責任補償特約をセットしている場合には、あらためて火災保険に同特約をセットする必要はありません。ご自身が自動車保険など他の保険契約に個人賠償責任補償特約をセットしていないかをご確認ください。
補償が重複しやすい4つのパターン

 

 

 

7.空き家の売却や相続放棄も検討が必要

相続した空き家に住んだり、貸したりする予定がないのであれば、売却などの処分の検討も1つの選択肢になります。

空き家は所有しているだけで、固定資産税や火災保険料、管理費などの費用が発生します。空き家を活用する予定が全くないのであれば、手放すことにより、費用負担がなくなります。

 

・3,000万円の控除

相続した空き家を売却すると、税金が沢山かかるのではないかと心配している方もいらっしゃるのではないでしょうか?実は、一定の条件を満たせば税負担を軽減できる優遇措置があります。

相続時から3年を経過するまでに相続した空き家を売却するなどの一定の条件を満たした場合、空き家の譲渡所得(売却益)から3,000万円を控除できる「空き家の発生を抑制するための特例措置(出典:国土交通省)」があります。

空き家を売却した際の譲渡所得(売却益)から3,000万円を控除できますので、課税される税金を節税できます。

 

・空き家を相続放棄する

空き家が売れないと判断できるのであれば、相続放棄という手段もあります。相続放棄をすれば、空き家を管理するという義務から解放されます。

ただし、相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の一切の相続財産を放棄することです。よって、空き家以外に現金などの財産があれば、その財産も放棄することになってしまいます。

また、相続放棄は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。相続から一定年数が経過し、空き家の使い道がないから相続放棄をするということはできません。

空き家以外に他の財産がなければ、相続放棄も1つの手段ですが、相続放棄には上記のようデメリットもありますので、注意が必要です。

 

 

 

まとめ

今後、日本では少子高齢化が進み、使い道のない空き家を相続する方が増える可能性が高くなります。

相続した空き家が建っている地域によっては、残念ながら借り手もなく、売るに売れないという物件も増えることでしょう。使い道がない空き家でも固定資産税や火災保険などの費用が発生します。

そのような場合には、相続放棄なども含めて、どのように空き家を処分していくかも考えておいた方がいいでしょう。

No.371

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