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相続対策における生命保険活用法|非課税枠以外の4つのメリット

相続対策というと、相続税の節税というイメージがかなり強くないでしょうか?

最近までは、所有している土地に賃貸マンションを建てて節税するという方法も話題になっていました。2015年1月に相続税・贈与税の改正があり、相続税の課税対象者が広がるということで、相続税の節税ばかりに注目が集まっているように思えます。

しかし、相続時に重要となるのは、税金を安くする節税対策だけではありません。今回は、相続時に発生する問題をいくつかご紹介したいと思います。相続時には、相続税以外にどのような問題点が発生するかと、その問題点に対する生命保険の活用方法を解説したいと思います。

※2015年1月の相続税・贈与税の改正内容については、国税庁の下記パンフレットをご参照ください。
相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

1.相続時に発生する税金以外の5つの問題点

相続時に発生する問題としては、相続税をどのように払うかや、税金をどのように安くするかなどを連想する方が多いと思います。しかし、相続時に発生する問題は税金以外にもあります。

 

1-1.被相続人(亡くなった方)の預金が銀行から引き出せない!?

一般的に口座名義人の方が亡くなると、預貯金口座は凍結され、口座から現金を引き出すことができなくなります。預貯金口座から現金を引き出すためには、遺言遺産分割協議書等が必要となります。

また、遺言が自筆の場合、裁判所での検認が必要となりますし、遺産分割協議書については、相続人全員の署名、捺印が必要となり、亡くなった方の預貯金の引き出しには、時間がかかる可能性があります。

仮に相続人の方に収入がない場合、口座から現金を引き出せないと生活が困窮してしまう可能性があります。

 

1-2.被相続人(亡くなった方)の現金を使うと相続放棄できない!?

仮に被相続人(亡くなった方)の預貯金口座が凍結されていなかったとしても、現金を引出して使ってしまうと後々問題になる場合があります。

相続とは、亡くなった被相続人の一切の権利義務を相続人が引き継ぐことです。一切というところがポイントで、亡くなった方の財産が全て現金や土地等のプラスの財産であれば、問題はありませんが、借金等のマイナスの財産もある場合があります。

相続するということは、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も全て引き継ぐことになります。

仮に現金や土地等のプラスの財産よりも借金等のマイナス財産の方が多い場合、相続を放棄するという選択肢もあります。

相続放棄は相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。ただし、相続放棄は上記期限内であっても、確実にできるわけではありません。

相続放棄前に亡くなった方(被相続人)の財産を使っていた場合、相続を単純承認したことになってしまいます。そうなると、原則、相続放棄はできなくなります。

つまり、亡くなった方(被相続人)の財産の内容をよく確認しないうちに現金等の財産を使ってしまうと、相続放棄ができないという問題が発生する可能性があります。

 

1-3.被相続人(亡くなった方)の土地は簡単には売れない!

相続が発生しても土地を売って、税金や生活費を準備すれば大丈夫と言われる方がいますが、土地についても簡単に売れるわけではありません。

土地を売るには、亡くなった被相続人名義である土地を相続人の名義に変更する必要があります。名義変更には、遺言や遺産分割協議書等が必要となります。

上記の通り、自筆証書遺言の裁判所での検認や遺産分割協議を行えば、名義変更にも時間がかかります。また、土地については、現金とは違い、すぐに売れるか分かりませんし、希望の値段で売れるとも限りません。

相続税に関しては、物納延納を考えている方もいらっしゃいますが、物納や延納するには要件があり、物納、延納したいからといって必ずできるわけではありません

 

1-4.相続税納税は待ったなし!

実は、民法上の遺産分割と税法上の相続税は全く別物です。どういうことかというと、相続税の納税については、遺産分割協議を待ってはくれません

相続税に関しては遺産分割協議が終わっていなくても被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納付を行う必要があります。

遺産分割協議が終わっていない場合、相続人が法定相続分で相続したと仮定して相続税を納税する必要があります。配偶者の税額軽減小規模宅地の評価減等の特例は一切利用できず、想定しているより多くの相続税を納めることになる可能性があります。

机上では、小規模宅地の特例と配偶者の税額軽減を考慮して相続税を計算していたが、実際の相続時には遺産分割協議がまとまらず、各種特例が利用できないことで、想定以上の相続税支払いが必要になることもあるでしょう。

 

1-5.亡くなった方(被相続人)の意思は遺産分割に反映されない!

遺産を分割する際に遺言がないと亡くなった方の意思は原則、反映されません。どんなに財産を渡したい人がいても亡くなっているため、当たり前ですが、遺産分割協議に参加することはできません。

特に下記の方には相続権がありませんので、遺言がないと原則、財産を遺すことはできません。
・内縁の妻(夫)
・同性パートナー
・子供の配偶者 等

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なお、遺言書については、下記記事で解説していますので、ご参照ください。
「遺書」、「遺言書」、「エンディングノート」の違いとは?

 

 

 

2.相続時の生命保険活用法

実は、相続時に発生する上記の多くの問題点を生命保険で解決することが可能です。

 

2-1.生命保険は、現金化が速い

生命保険は一般的に保険金の請求から5営業日程度で現金を受け取れます。死亡保険金は民法上の相続財産ではなく、受取人固有の財産とされていますので、保険金の受け取りに遺言や遺産分割協議書は不要です。

つまり、遺産分割方法が決まっていなくても生命保険の死亡保険金は受け取れます。保険会社の中には、クイック支払サービスとして保険金請求日の翌営業日等に保険金を支払う会社もあります。
死亡保険金を請求したその日に受け取れる!?

亡くなった被相続人の預貯金口座が凍結されても生命保険契約があれば、死亡保険金として残されたご家族が現金を受け取ることが可能です。

 

2-2.相続放棄をしても生命保険(死亡保険金)は受け取れる

死亡保険金は民法上の相続財産ではなく、受取人固有の財産とされていますので、相続放棄をしていても生命保険の保険金は受け取ることが可能です。

借金等のマイナスの財産が多く、相続人が相続放棄した場合でも生命保険に加入していれば、確実に保険金受取人に現金を渡すことができます。

 

2-3.生命保険は保険金の受取人を指定できる

生命保険の死亡保険金は受取人を指定できますので、亡くなる方の意思を形にできます。自分の財産を渡したい方を受取人に指定することにより、亡くなる方の気持ちを表すことが可能です。

また、上記の通り死亡保険金は民法上の相続財産ではなく、受取人固有の財産とされていますので、遺産分割協議の対象外です。

法定相続人でない内縁関係の配偶者や同性パートナーを保険金受取人にすることにより、相続人でない方に財産を遺すことも可能です。
内縁の妻(夫)に相続権はない?

 

2-4.生命保険で納税資金対策も可能

生命保険の保険金を代償交付金に活用することで、遺産分割を滞りなく進めることも可能になります。生命保険の保険金を活用すれば遺留分の問題も解決できます。

また、生命保険の保険金を納税資金として活用することも可能です。

 

 

 

まとめ

上記の通り、相続時に問題になるのは、税金だけではありませんが、相続時に問題になるポイントで生命保険を活用するとスムーズに解決できる場合があります。

また、生命保険には、一定の額までは相続税が課税されない非課税枠(相続税法第12条)もあります。非課税枠については、下記記事をご参照下さい。
非課税限度額について勘違いが多いポイント

生命保険に加入したからといって、全ての相続時の問題を解決できるわけではありませんが、上手にご活用頂ければと思います。相続時の生命保険活用法をプロに相談したい場合は、無料でFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談が可能です。
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