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正しく告知しても医療保険の保障対象外?

生命保険や医療保険等の加入の際には、告知をする必要があります。

告知書の質問事項に該当する項目が無ければ、原則として契約は成立します。告知義務違反がなく、正しく告知されていれば、保障対象外になるような事は発生し得ないと思われる方が多いと思います。
告知義務違反で生命保険が解除とならないための注意点4つ

実は、正しく告知して契約した場合であっても、保険責任開始期より前に発生した疾病・傷害を原因とする保険金の支払事由については、保険金が支払支払われない場合があります。

今回は、始期前発病不担保についてご紹介します。

1.始期前発病不担保とは?

正しく告知が行われていても、保険期間の開始前にすでに発生した疾病・傷害については、その治療(入院、手術等)が保険期間の開始後に行われていても、保険金支払いの対象外になります。

これを「始期前発病不担保」といいます。

始期前発病不担保条項は、医療保険、がん保険、所得補償保険等の約款に規定されています。

医療保険のご契約のしおりや重要事項説明書(契約概要・注意喚起情報)をご覧になればわかりますが、保険金を支払わない場合の部分に始期前発病不担保について書かれています。

ある保険会社の所得補償保険の約款には、「始期前発病不担保」について下記のような部分があります。

初年度契約の保険期間の開始時より前に発病した病気・発生した事故によるケガを原因とする就業不能(保険金の支払事由)に対しては、正しく告知してご契約された場合であっても、保険金をお支払いできません。

ただし、初年度契約の保険期間の開始時より前に発病した病気または発生した事故によるケガを原因とする就業不能(保険金の支払事由)であっても、初年度契約の保険期間の開始時からその日を含めて1年を経過した後に就業不能(保険金の支払事由)が生じた場合は、その就業不能(保険金の支払事由)に対しては保険金をお支払いします。

 

 

 

2.保障対象外となる保険金・給付金等

責任開始期前に生じた傷病や不慮の事故などを原因とする場合に支払われない保険金・給付金等は下記の通りです。

 

●疾病入院給付金
●災害入院給付金
●手術給付金
●放射線治療給付金
●三大疾病保険金
●保険料払込免除
●先進医療給付金 等

死亡保険金については、責任開始期以後の傷病を原因とすることが支払いの要件にはなっていないため、死亡の原因が責任開始期前に生じていた場合でも支払い対象となります。

 

 

 

3.始期前の発病・傷害でも保障される場合

下記の場合、責任開始期前の疾病や不慮の事故であっても保障されます。

 

●保険会社の責任が始まった時から一定期間(例:2年間)を経過した後に入院や手術を受けた場合、始期後の原因によるものとみなして保険金の支払対象となります。

 

また、下記の場合は責任開始期前に発生した疾病であっても、責任開始期以後の原因によるものとみなし、保険金等の支払対象になります。

 

●契約の締結または復活の際に告知のあった疾病については、保障されます。

●始期前に発生した疾病でも下記①及び②を満たし、保険契約者及び被保険者の認識及び自覚がなかった場合、始期後に発生した疾病として保障対象となります。

①責任開始期前に被保険者が医師の診察、検査、治療、投薬を受けたことがない

②責任開始期前に被保険者が健康診断、人間ドック等による異常の指摘を受けたことがない

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4.主な告知内容

医療保険等の申込時に必要となる主な告知事項は下記の通りです。

【医療保険などの主な告知事項】

  1. 最近3ヶ月以内に、医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか
  2. 過去5年以内に病気やケガで初診日から最終受診日まで7日以上の期間にわたり、医師の診察・検査・治療を受けたこと、または7日以上の投薬を受けたことがあるか
  3. 過去5年以内に病気やケガで手術を受けたことがあるか
  4. 今までに「がん」または「上皮内がん」と診断されたことはあるか
  5. 過去2年以内に健康診断・人間ドックを受けて、異常(要再検査・要精密検査・要治療)を指摘されたことがあるか  等

例えば、告知の4ヶ月前に「がん」や「上皮内がん」以外の病気で、医師の診察を5日間受けていた場合でも、上記①~④の告知には該当しません。また、健康診断・人間ドックを受けて異常を指摘されていなければ、⑤に該当せず、告知は全て“いいえ”で回答できることになります。

しかし、医療保険加入後に告知4ヶ月前の病気で入院した場合には、始期前に発病した疾病として保障されません。

 

 

 

 

5.保険会社になぜわかる?

保険始期前の病気がなぜ保険会社に分かるのかと疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、保険金(給付金)請求時には、ほとんどの場合、診断書を出す必要があります。

この診断書で既往症は分かってしまいます。

 

 

 

まとめ

始期前発病不担保については、ご存知ない方が多いのではないでしょうか?何か病気をされていて医療保険等に加入する際にはご注意ください。

最終更新日:2017年11月12日
No.85