行方不明になったら生命保険は支払われる?

2018年6月2日

警察庁の統計によれば、2016(平成28)年度中に「行方不明者届」が受理された不明者は8万4,850人に上ります。また、2014(平成26)年度は8万1,193人、2015(平成27)年度は8万2,053人と、2006(平成18)年以降、年間8万人台で高止まりしているそうです。

仮に一家の大黒柱が行方不明になったとしたら、残された家族は非常に困るでしょう。そのような場合、加入している生命保険の保険金は支払われるのでしょうか?

今回は、行方不明になった場合の生命保険について解説します。

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1.行方不明の場合も保険金は支払われる

結論からいうと、被保険者が行方不明の場合も死亡保険金が支払われます。

被保険者が失踪した場合、家庭裁判所に失踪宣告を申立てることができます。審判で確定されると死亡したとみなされます。

※被保険者とは?
被保険者とは、保険契約の保障対象者のことを指します。被保険者の生死などにより、受取人に保険金・給付金が支払われます。

 

 

 

2.失踪の種類

失踪宣告には普通失踪と特別失踪(危難失踪ともいいます)の二種類があります。

 

1)普通失踪

普通失踪の場合、失踪してから7年間経過すれば、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることができます。

2)特別失踪

特別失踪の場合、沈没した船舶に乗っていた人などの生死が1年間不明の場合に失踪宣告を申立てることができます。

失踪宣告がなされると、被保険者は死亡したとみなされますので、死亡保険金受取人に保険金が支払われます。

 

 

 

3.保険料の負担

被保険者(保障の対象者)が行方不明の場合でも保険金は支払われますが、保険契約を普通失踪の場合は7年間、特別失踪の場合は1年間、有効に継続する必要があるので、行方不明でも失踪宣告をするまでの間は保険料を払い続けなければなりません。

失踪した被保険者が契約者の場合、保険料負担が物理的に不可能な場合もあると思います。そのような場合にも解約返戻金があるタイプの生命保険であれば、自動振替貸付が行われ、契約が有効に継続する可能性もあります。

自動振替貸付とは解約返戻金の範囲内で保険会社が自動的に保険料を立て替え、契約を失効させることなく有効に継続させる制度です。但し、自動振替貸付の元利合計が解約返戻金を上回ると、保険料の立て替えができず、契約は失効します。

自動振替貸付には、立て替えられた保険料に所定の利息(複利)が付くなどの注意点があります。自動振替貸付の詳細については、下記記事をご参照ください。
保険料が支払われなかった場合の流れ

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4.生存が確認された場合

失踪者が現れて被保険者の生存が確認されると、失踪宣告が取り消されます失踪宣告はなかったものとされます。

受け取った保険金については、使っていない部分を生命保険会社に返還する必要があります。

 

 

 

5.参考

参考に民法の条文もご参照ください。

~民法第30条~
1項
不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2項
戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする。

 

~民法第31条~
前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

 

~民法第32条~
1項
失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
2項
失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。

 

 

 

まとめ

被保険者(保障の対象者)が行方不明になった場合でも生命保険の保険金は支払われますが、失踪宣告をするまでの間、生命保険契約を有効に継続させる必要がある点に注意が必要です。

最終更新日:2017年11月6日
No.78

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