自動車保険と高齢者問題

2018年9月28日

高速道路の逆走やブレーキとアクセルの踏み間違い等、高齢者ドライバーの交通事故は社会問題化しています。

先日も80代や90代で生活の必要性から車を運転せざるを得ない方たちの特集番組が放送されていました。加齢とともに判断能力や反射神経が落ちてくるので、運転が危険になるのはどうしようもないことだと思います。

そのような状況の中、先日、高齢者の方のお子さんからご相談を受けました。

運転が危ないという内容の相談ではないのですが、運転以前の問題で、今回のような危険な状況は他の高齢者の方にも起こっているのではないかと思いますので、その内容をご紹介します。

一人暮らしの高齢者で自動車を運転している親族がいらっしゃる方は参考にして頂ければと思います。

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1.自動車保険に加入している?

今回のご相談は、一人暮らしをしている親(80代後半)が車を運転しているが、自動車保険に加入しているか怪しいというお子さんからの相談でした。

親に自動車保険の加入有無を確認してもよく分からないという回答しか返ってこないということでした。ご本人が継続の手続きをしたかを忘れていて、かつ加入の有無の確認の仕方も分からないという事でした。

 

 

 

2.車検が残っているか?

今回のご相談で私がまず心配したのが、車検の有効期間は残っているのかということでした。まず車検の有効期間ををチェックすることが重要です。

車検切れの状態で公道を走行すると以下のような罰則があります。
●道路運送車両法違反(無車検運行)で違反点数6点
●6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金前歴は問わずに30日の免許停止

車検証を確認したところ、幸いにも今回の事例では車検は切れていませんでした。

 

 

 

3.自賠責保険(共済)に加入しているか?

車検の件と重複するポイントではあるのですが、自賠責保険(共済)の加入有無も心配でした。

自賠責保険(共済)に加入していないと、自賠責部分の補償がないというだけでなく、自賠責保険(共済)に加入せず自動車保険に加入していたとしても数々のデメリットが生じます。
自賠責に加入していないと発生する4つの問題点

更に自賠責保険(共済)に加入せずに車を走行させると以下の罰則があります。
●自動車損害賠償保障法違反(無保険車運行)で違反点数6点
●1年以下の懲役または50万円以下の罰金前歴は問わずに30日の免許停止

更に自賠責保険(共済)の証明書を所持していないだけでも30万円以下の罰金が科せられます

仮に車検切れで自賠責保険(共済)も切れていれば、合計で90日間の免許停止処分と、1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金となります。

自賠責保険(共済)に加入していないと車検は通らないので、今回の事案では車検切れでない時点で自賠責は車検の有効期間以上加入していることが分かります。

車検証とともに自賠責保険の証明書もグローブボックスの中にしっかりありました。

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4.自動車保険に加入しているか?

最後のチェックポイントは今回の直接の相談内容である自動車保険に加入しているかということですが、残念ながら2年前の満期以降、保険は継続されていませんでした。

車検証とともに2年前に満期を迎えた自動車保険の証券が出てきました。新しい証券がなかったため、保険会社に確認したところ、やはり保険は更新されておらず、無保険状態でした。

今回の事例では、自賠責保険には加入していたので、他人をケガ等させた場合の人身事故は補償されますが、他人の車を壊した等の対物事故は補償されません。また、人身事故が補償されるといっても自賠責保険の必要最低限の補償しかありません。

 

 

 

5.等級はリセットされる

継続されなかった証券を確認したところ、残念なことに等級は20等級でした。20等級はノンフリート等級別料率制度で最高の割引率(63%)です。
自動車保険の等級制度(ノンフリート等級別料率制度)

今回、自動車保険に再加入するとなれば、前回の満期から8日以上経過しているので、等級は6等級(S)からにリセットされます。
自動車保険の満期更改手続きを忘れたら・・・

今回の事例では割引率は、63%から9%に大幅にダウンします。契約が継続できなくなってから2年が経過し、その間に等級制度の改定や記名被保険者年齢別料率の導入等の改定もあったので、単純比較はできませんが、試算してみると保険料は約2万円から約8万円に大幅アップします。

継続できなかった契約にも自動継続特約はあったと思うのですが、満期から1ヶ月以内の手続きが必要だったのか若しくは引き落とし口座にお金がなく、保険料の支払いができなかったかで継続できていませんでした。

自動継続特約があっても今回のような事例があるので注意が必要です。

 

 

 

6.代理店型であれば・・・

今回の自動車保険は通販(ダイレクト)型の契約でした。通販(ダイレクト)型の場合、満期の案内はハガキ等になりますので、高齢の方の場合には見過ごす可能性があります。

これが代理店型の自動車保険であれば、まず郵便や電話でコンタクトを取り、それでも連絡が取れない場合には、訪問する等の手順で自動車保険の継続意思を確認する代理店が多いと思いますので、満期更改を忘れるということはなかった可能性があります。

特に今回の事例の場合は、契約者の方が長期間旅行に行っていた等で連絡が取りずらい状態では無く、自宅に居て、電話等でいつでも連絡が取れる状態でしたので、代理店型の自動車保険を選択していた場合には、継続忘れが発生する可能性は極めて低かったと思われます。

高齢者ドライバーの方の場合には、通販(ダイレクト)型よりも保険料は少し高くなっても代理店型の自動車保険に加入する方が安全でしょう。数万円の保険料を節約して、無保険状態で自動車事故を起こすリスクを考えると、代理店型を選択する方が合理的といえます。

 

 

 

7.高齢ドライバーの保険料を安くするには?

70歳を超える高齢者の方の場合、記名被保険者年齢別料率が導入されているため、自動車保険の保険料は、高くなる傾向があります。
年齢条件が同じでも記名被保険者の年齢によって自動車保険の保険料は異なる

代理店型の自動車保険に比べてダイレクト型の自動車保険の方が安い傾向がありますが、安易にダイレクト型を選ぶのではなく、それ以外の保険料を安くするポイントを活用して頂ければと思います。

例えば、下記のような方法で自動車保険の保険料は安くすることができます。

・運転者限定特約で補償される運転者を限定する
・車両保険の免責金額(自己負担額)を上げる など

 

 

 

まとめ

高齢者の方は判断能力が落ちることによって危険になるのは運転だけではありません。今回の事例のように無保険状態で運転されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

更に危険なことは車検も忘れていたなどということで、車検切れ、自賠責切れで運転している事例もあると思います。

お子さんと同居等していて常にチェックできる状態であればいいのですが、離れた場所での一人暮らし等であれば、定期的に確認することが重要でしょう。

最終更新日:2018年2月1日
No.166

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