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自動車保険で過失割合が100対0(10対0)となる交通事故とは?

「車同士の事故で、どちらか一方に100%過失(責任)がある事故はあるのか?」という質問を頂くことがあります。実際に車同士の事故でどちらか一方に全ての過失(責任)がある100対0(10対0)の事故というのはあるでしょうか?

そもそも一般の方には過失割合という言葉自体に馴染みがないと思います。よって、今回は過失割合の下記ポイントについて解説します。

  • 交通事故の過失割合は誰が決めるのか?
  • 過失割合が100対0(10対0)となる交通事故例3つ
  • 過失割合が100対0(10対0)の被害者となった場合の注意点

1.過失割合とは?

まず、「過失割合」の用語の説明から始めます。

過失割合とは、事故が発生した際の当事者間の責任(不注意)の割合のことです。

加害者と被害者が絡む自動車事故が発生した際にはそのいずれか、あるいは双方に、本来するべきことを怠っていたという意味での過失(責任)があります。

交通事故が自損事故でない場合、加害者と被害者とにあるその事故に対する責任の割合を過失割合といいます。

 

 

 

2.交通事故の過失割合は誰が決めるのか?

さて、その過失割合は誰が決めるのでしょうか?

警察が決めると思っている方が多いのですが、実は、過失割合は民事上の問題なので、警察が決めるものではありません

通常は事故の当事者双方が契約している保険会社による話し合いによって過失割合を決めます。実際の事故と類似した過去の裁判例を基準として「7対3」や「8対2」などのように過失割合は決定されます。

「保険会社に連絡せずに事故現場で事故相手と過失割合を決めると、どのような問題がありますか?」というご質問を頂くことがあるのですが、事故の当事者間で過失割合を決めてもその割合が正当なものでなければ、保険会社は当事者間で決めた過失割合に従った割合では保険金を支払いません。従って、事故現場で安易に示談せず、まずは保険会社に連絡をするようにしてください。

過失割合の決め方等については、下記記事をご参照ください。
自動車事故の過失割合は誰が決めるのか?

 

 

 

3.過失割合が100対0(10対0)となる3つの交通事故事例

さて、ここからは過失割合が100対0(10対0)となる3つの交通事故例について紹介します。

 

・追突事故

追突事故は100対0(10対0)の事故として認識されている方も多いと思います。

例えば、一般道路で赤信号で停止しているときに後ろから追突された事故の場合、追突した側に100%過失(責任)があるというのが基本的な考え方です。

但し、これは基本的な割合となり、個々の事故状況等によっては100:0の事故とならない場合もあります

道路交通法では駐停車について以下のように定めがあります。

道路交通法第52条
車両は夜間、道路にあるときは前照灯、車幅灯、尾灯、その他灯火をつけなければならない
道路交通法第47条、第47条2項
車両は駐停車するときは道路の左端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない

つまり、追突された側が、夜間等の視界不良時にハザードランプをつけていなかったり、道路の左端に寄せて駐停車していない場合には、追突された側にも10~20%程度の過失(責任)が生じる可能性があります。

実際に駐車場内で駐車中に追突されたという事故で、追突された側の駐車位置が本来の駐車スペースではなかったということで、追突された側にも10%の過失が発生した事例を私も経験しました。

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・センターラインオーバー

「センターラインをオーバーしてきた車と衝突した場合、避けようがないが、双方に過失が発生するのか?」という質問をよく頂きます。

センターラインをオーバーし、対向車と接触・衝突した場合には、基本的にセンターラインをオーバーした側に100%の過失が生じます。

 

・赤信号無視

信号のある交差点で、青信号で直進する車(A)と、赤信号で直進する(B)が出合い頭に衝突した場合、赤信号を無視した側(B)に100%の過失が生じます。

但し、赤信号の車(A)が先に交差点に進入しているにもかかわらず、青信号で交差点に進入した車(B)が確認を怠り、衝突した場合等には、(A)側にも過失が生じる可能性があります。

 

 

 

4.100対0(10対0)の事故の被害者になった場合の注意点

相手側に100%過失(責任)がある事故の被害者になった場合、注意して頂きたい点があります。それは、相手側に100%過失(責任)がある事故では、被害者側の保険会社は示談交渉ができないということです。

例えば、赤信号で停車中に相手車に後ろから追突されたような事故の被害者となり、相手(加害者)が損害賠償に応じない等の問題が生じた場合でも被害者側の保険会社は、相手(加害者)との示談交渉はできません。

保険会社が示談交渉できない理由については、下記記事をご参照ください。
示談交渉サービスが受けられない4つのパターン

相手に100%過失があるよな事故の被害者となった場合には、被害者自らが事故相手(加害者)若しくは、相手側の保険会社と示談交渉することになります。

しかし、一般の方が示談交渉するのは、法律的な知識等がない場合、非常に困難になります。上記のような被害事故(もらい事故)の示談交渉を弁護士に依頼する際に利用できるのが、「弁護士費用特約です。

弁護士費用特約」は、自動車事故などの被害事故等に関する相手方への法律上の損害賠償請求をするために必要な弁護士費用や、弁護士などへの法律相談・書類作成費用などを保険金として支払う特約です。

もらい事故の被害者になった場合に備えて自動車保険には、「弁護士費用特約」をセットすることをおすすめします。

「弁護士費用特約」を含めた自動車保険にセットできるおすすめの特約に関しては、下記記事をご参照ください。
自動車保険の必要性が高い特約とは?|プロおすすめの5特約

 

 

 

まとめ

上記はあくまでも一般的に100対0(10対0)となる事故についてご紹介しましたが、個々の事故状況によっては、過失割合が変わる可能性がありますので、ご注意ください。

最終更新日:2018年10月24日
No.239