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学資保険

こども保険とは?|必要性は?いつから加入すべき?

子供が生まれるのであれば、とりあえず「こども保険」に加入すべきだろうと考える方が多いのではないでしょうか?

しかし、こども保険とはどのような内容の保険なのかということを正確に理解している方は少ないように思います。こども保険の内容を理解して加入しないと、加入しようとした目的とは異なる商品に加入させられる可能性もあります。

そこで今回は、こども保険の下記ポイントについて解説します。

  • こども保険とは?
  • こども保険には種類がある?
  • こども保険には必ず加入する必要があるのか?
  • こども保険はいつから加入すべきか?
  • こども保険のデメリットとは?
  • こども保険に加入する場合の注意点

今回の記事を読めば、こども保険の概要やデメリットが理解でき、こども保険加入時の参考にしていただけます。

1.こども保険とは?

こども保険とは、広い意味では子供を保障の対象(被保険者)とする保険のことを指します。

よって、こども保険には、子供のケガや病気を保障する「医療保険」や子供の教育費を積み立てる「学資保険」などがあります。

一般的にこども保険というと、子供の教育資金を積み立てる保険を指しています。今回の記事でも「こども保険は教育資金を積み立てる商品」として話を進めていきたいと思います。

 

・こども保険の種類

教育資金を準備するためのこども保険には、大きく分けて積立を重視する「貯蓄型」と契約者である親の保障を重視する「保障型」の2つのタイプがあります。

 

・こども保険加入の目的は?

上記の通り、教育資金を積み立てる目的のこども保険にも「貯蓄型」と「保障型」などの種類があるので、こども保険に加入する際には、加入の目的が何なのかをはっきりさせることが重要です。

教育資金の積み立てが目的なのか、子供のケガや病気を保障することが目的なのかなどです。目的が明確になっていないと商品選択を誤ってしまいます。

 

 

 

2.こども保険の必要性

ここでは、こども保険の必要性について解説したいと思います。こども保険を子供のケガや病気を保障するための保険と、教育資金を積み立てるための保険とに分けて考えたいと思います。

 

・子供に医療保険は不要

まず、子供のケガや病気を保障する医療保険は、不要だと私は考えます。

子供の医療費は自治体からの助成(補助)があります。自治体により助成の内容や対象となる子供の年齢等に違いがります。また、所得制限の有無等の違いもあります。例えば、大阪市と神戸市のこども医療費の助成内容は下記リンク先のようになっています。

大阪市のこども医療費助成制度
神戸市のこども医療費助成制度

自治体によっては、15歳までは医療費がタダ(無料)という場合もあります。よって、子供の医療費に対して保険で備える必要性は低いといえます。

ただし、子供が病気になり、入院などすると、親が付きそい仕事を休まなければいけない場合もあると思います。そのような場合に備えて、都道府県の共済などに加入しておいてもいいでしょう。
共済と医療保険の違いを比較、どちらがおすすめ?

子供が入院した時に受け取れる入院給付金を親の休業補償的な形で使うことができます。

 

・「貯蓄型」のこども保険の必要性

貯蓄型」のこども保険は学資保険とも呼ばれ、子供が一定年齢になった際に学資金や満期保険金が出るタイプの商品です。

契約者である親が万が一死亡した場合には、以後の保険料の払い込みが免除される保障機能も付いていてます。

「貯蓄型」のこども保険は、貯蓄が苦手な方にとっては、検討に値する商品といえるでしょう。保障機能も付いているので、必要性はあります。

ただし、後ほど解説しますが、学資保険にはデメリットもありますので、デメリットの部分についても理解して加入する必要があります。

 

・「保障型」のこども保険の必要性

契約者が死亡した場合に育英年金が出る保障を重視する「保障型」のこども保険は必要性が低いといえます。

契約者である親がこども保険以外に生命保険(死亡保険)に加入していれば、親の保障を重視した
こども保険の必要性は低いでしょう。

こども保険への加入目的が教育資金の積み立てであれば、積立利率が高い商品を選ぶべきです。「保障型」のこども保険の場合、保障部分の保険料が大きくなってしまいますので、積立部分に回る保険料が少なくなり、結果として返戻率(支払う保険料に対して受け取る学資金の割合)が悪くなってしまいます。

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3.こども保険(学資保険)のデメリット

さて、こども保険(学資保険)に加入される方の多くが、教育資金の積み立てを目的に加入されていると思います。

教育資金の積み立てに利用される「貯蓄型」のこども保険(学資保険)は、教育資金が貯まり、親に万が一のことがあれば、以後の保険料支払いも不要になるので、メリットばかりのように感じます。

しかし、「貯蓄型」のこども保険(学資保険)にもデメリットがあるので、注意が必要です。「貯蓄型」のこども保険(学資保険)のデメリットについて解説していきます。

 

・早期解約は元本割れのリスク

「貯蓄型」のこども保険(学資保険)の大きなデメリットが元本割れのリスクです。「貯蓄型」の生命保険全般にいえることですが、早期解約はほぼ確実に受け取る解約返戻金が支払った保険料を下回る元本割れを起こします

預貯金であれば、急に何かしらの事情でお金が必要になった場合、教育資金として積み立てていたお金も元本割れさせずに引き出すことが可能です。

しかし、学資保険の場合には、満期前にお金を引き出すために解約すると、ほぼ確実に元本割れを起こします。

 

・インフレに弱い

契約時に予定利率が確定している定額保険全般に言えることですが、インフレや金利の上昇には対応できません。学資保険は定額保険でインフレに弱いというデメリットがあります。

仮に満期時に300万円受け取れる学資保険に加入し、満期までにインフレで物価が2倍になったとしたら、受け取る満期保険金の価値は、実質150万円に下がってしまいます。

上記のようなインフレ時に学資保険では対応できません。

なお、外貨建ての養老保険などを学資保険の代替としてすすめている保険会社もありますが、為替のリスクには注意が必要です。外貨建ての保険は、予定利率が高く、外貨ベースでは返戻率が高いですが、為替の状況によっては、解約返戻金や満期保険金受取時に元本割れする可能性があることを十分に認識しておく必要があります。

 

 

 

4.こども保険はいつから加入すべきか?

こども保険には、いつから加入すべきか?」というご質問をよくいただきます。

こども保険に加入する予定があるのであれば、可能な限り早く加入することをおすすめします。出産前から十分に検討し、加入するなら出産前もしくは出産後すぐに加入すべきです。

なるべく早くこども保険に加入すべき理由は下記の通りです。

 

・積立期間長いほど、1回の支払額(負担額)は小さくなる

積立期間が長ければ、1回で支払う積立額が小さくなり、負担が軽くなります。

例えば、300万円を20年で貯めるのであれば、1年に15万円、月で約1.3万円を積み立てる必要があります。一方、300万円を10年で貯めるためには、1年に30万円、月に2.5万円を積み立てる必要があります。

積立期間が短くなればなるほど1回あたりの負担額が大きくなります。子供が小さい間に学資保険に加入すれば、積立期間(保険料支払期間)が長くなり、1回あたりの支払額の負担は小さくなります。

 

・子供の加入可能年齢に注意

一般的に、こども保険は、子供の加入可能年齢に上限がありますので、注意が必要です。

こども保険に加入しようと考えている間に、子供が加入可能年齢を超えてしまっているという
ことも起こり得ます。

 

・契約者(親)の健康状態

親の健康状態にも気を付ける必要があります。こども保険には、契約者である親の保障も付いているので、健康状態によっては、加入できない可能性があります。

親が少しでも健康な間にこども保険に加入するべきです。

 

 

 

5.こども保険(学資保険)加入時の注意点

「貯蓄型」のこども保険(学資保険)に加入する際に注意していただきたい点を下記の通りまとめました。

 

・元本割れしないかを確認する必要あり

「貯蓄型」のこども保険は満期保険金が支払保険料総額を絶対に上回るという先入観を持っている方が多いのですが、実際には、満期時でも元本割れする学資保険もあります。

ある保険会社の学資保険は、どのような条件で加入しても絶対に支払保険料を受け取る学資金が上回ることがありません。

学資保険の契約例
保険金:300万円
払込期間:10年
契約者:35歳
被保険者:0歳
保険料払込免除特則付
月額保険料:25,510円

上記契約例では、月額25,510円を10年間支払うことによって、300万円の学資金を受け取ることができます。これだけを見ると何が問題なのかと思われるかもしれません。

しかし、保険料払込期間である10年間の保険料支払総額を確認すると、印象が変わります。

保険料払込総額3,061,200円
(25,510円 × 12か月 × 10年)

払い込む保険料が3,061,200円で、受け取る学資金が300万円なので、返戻率は98.0%です。上記の学資保険はどのような条件で試算しても受け取る学資金が払い込む保険料を上回ることはありません。

つまり、早期解約時だけでなく、学資保険の満期まで契約を続けたとしても元本割れを起こします。

上記のようにどのような条件でも確実に元本割れする学資保険がありますので、加入する際には、設計書をしっかりと確認し、総額ではいくらの保険料を支払い、学資金は総額でいくら受け取れるのかをきっちりと確認することが重要です。

こども保険への加入が教育資金の積み立てであれば、元本割れする学資保険は避けるべきです。

 

・学資保険に子供の医療保障は必要か?

学資保険に特約(オプション)として子供の医療保障を付けられる商品がありますが、学資保険の加入の目的を明確にし、教育資金の積み立てが目的であれば、子供の医療保障は外すべきです。

子供の医療保障部分は掛け捨てになるので、学資保険に子供の医療保障を特約で付けると元本割れ
する可能性が高くなります。

学資保険への加入目的が、貯めて増やすことであれば、特約を付けず、シンプルな学資保険にすべきです。シンプルな学資保険の方が返戻率はよくなります

 

 

 

まとめ

こども保険についてご理解いただけたでしょうか?こども保険の特徴を理解して活用していただければと思います。

こども保険は低金利の影響で予定利率が低く、積極的におすすめできる商品ではありません。よって、教育費の全てをこども保険で準備しようと考えるのではなく、こども保険も一部活用しながら、その他、投資や貯蓄などの手段も検討していただければと思います。

教育資金の準備に活用できる商品としては、学資保険、外貨建て保険、貯蓄や投資などがありますが、どれか1つに依存し過ぎるのは危険です。ご自身で許容できるリスクの範囲内で、複数の手段を活用することが重要でしょう。

No.363