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診断給付金(一時金)のみのがん保険はアリか?

一般的ながん保険には、がんと診断されると受け取れる「診断給付金(一時金)」や入院時に受け取れる「入院給付金」、通院治療時に受け取れる「通院給付金」などの保障がセットになっています。

実は、「診断給付金(一時金)」のみの保障が選べるがん保険があることをご存知でしょうか?

今回は、診断給付金(一時金)のみのがん保険の下記ポイントについて解説します。

  • 診断給付金(一時金)のみのがん保険への加入はアリか?
  • 診断給付金(一時金)のみのがん保険比較
  • 診断給付金(一時金)のみのがん保険加入時の注意点とは?

がん保険への加入を検討している方は、今回の記事を参考にしていただければと思います。

1.がん保険の診断給付金(一時金)とは?

がん保険の「診断給付金(一時金)」とは、がんと診断されると100万円などまとまった金額の一時金を受け取れる保障です。

一般的に診断給付金(一時金)は、入院や特定の治療を受けることなどが条件になっておらず、がんと診断確定されると受け取れるので、がんの治療だけでなく、治療前の準備や治療に伴う収入減の補填など、受け取った一時金を自由に使うことができます。

なお、上皮内新生物(上皮内がん)の場合は診断給付金(一時金)が受け取れないがん保険や、上皮内新生物の場合には受け取れる診断給付金(一時金)が10%~50%程度になるがん保険があります。
上皮内がんと悪性新生物とで、がん保険の保障が異なる!?

また、初めてがんと診断された場合にのみ診断給付金(一時金)が受け取れるがん保険と、がんの再発や転移に備えるために診断給付金(一時金)を複数回受け取れるがん保険があります。

がん保険の診断給付金(一時金)の詳細については、下記記事をご参照ください。
がん保険の診断給付金について押さえておくべき6つのポイント

 

 

 

2.診断給付金(一時金)のみのがん保険という選択はアリ?

一般的にがん保険というと、「診断給付金(一時金)」のほかに「入院給付金」や「通院給付金」、「手術給付金」などがセットされているイメージをお持ちの方が多いと思います。

冒頭で申し上げた通り、診断給付金(一時金)の保障のみを選択できるがん保険も存在します。では、一時金のみのがん保険に加入するという選択はアリなのでしょうか?

結論から申し上げると、診断給付金(一時金)のみのがん保険への加入はアリだと考えます。

なぜなら、先述の通り、診断給付金(一時金)はがんと診断確定されただけで受け取れ、その使用用途は自由です。よって、受け取った診断給付金(一時金)を入院費用や通院費用などの治療費用だけでなく、がんになったことにより収入が減った場合の補填にも使えます。

最近では、入院治療の日数が減る傾向にあるので、入院給付金は受け取れる金額が減る傾向にあります。通院給付金に関しては、入院治療が受け取れる条件のがん保険もあるため、最初から通院治療の場合、通院給付金を受け取れない可能性があります。

その点、診断給付金(一時金)であれば、入院や特定の治療が条件ではなく、がんと診断されればまとまった金額の一時金を受け取ることができるので、健康保険が使えない自由診療を含め、あらゆる治療方法に対応できます。

3.診断給付金(一時金)のみのがん保険比較

一般的ながん保険は、主契約が診断給付金以外にも入院給付金などの保障がセットされています。ある保険会社の主契約は、「診断給付金」と「入院給付金」などがセットになっていて、「診断給付金」のみの保障を選んで加入することはできません。

しかし、がん保険の中には、「診断給付金」の保障のみを選択して加入することができる商品もあります。そこで、今回は、診断給付金の保障のみで加入できる主ながん保険を比較してみたいと思います。

比較するポイントは以下の4点です。

  • 保険料
  • 一時金は複数回受け取れるのか?
  • 一時金に設定できる保障額
  • 上皮内新生物は保障されるのか?

 

・FWD富士生命 新がんベスト・ゴールドα

FWD富士生命の「新がんベスト・ゴールドα」は、主契約が「悪性新生物診断給付金」で、一時金のみの保障が選択できます。

保険料試算例

被保険者:35歳男性
保険期間:終身
保険料払込期間:終身
悪性新生物診断給付金:300万円
月額保険料:5,281円

 

悪性新生物診断給付金に設定できる保障額は?

悪性新生物診断給付金は50万円、100万円、200万円、300万円の4パターンから
選べます。

 

悪性新生物診断給付金は複数回受け取れるか?

2年に1回を限度に複数回、回数無制限で悪性新生物診断給付金を受け取ることが可能です。

 

上皮内新生物の場合も保障されるか?

悪性新生物診断給付金という名の通り、一時金を受け取れるのは、悪性新生物と診断された場合で、上皮内新生物と診断された場合には、一時金を受け取ることはできません。

上皮内新生物を保障するためには、「上皮内新生物診断給付金」の特約をセットする必要があります。

 

 

・ライフネット生命 がん保険「ダブルエール」

ライフネット生命のがん保険「ダブルエール」は、がん診断一時金のみである「シンプルプラン」が選択できます。

シンプルプランの保険料試算例は下記の通りです。

保険料試算例

被保険者:35歳男性
保険期間:終身
保険料払込期間:終身
がん診断一時金:300万円
月額保険料:4,308円

 

診断一時金に設定できる保障額は?

診断一時金は100万円から50万円単位で、300万円まで設定できます。

 

診断一時金を複数回受け取れるか?

診断一時金は、保険期間を通じて1回のみの受け取りとなります。よって、診断一時金を受け取ると、その後再発や転移した場合などに複数回受け取ることはできません。

 

上皮内新生物の場合も保障されるか?

上皮内新生物と診断された場合、がん診断一時金の半額が受け取れます。
例えば、がん診断一時金の保障額が300万円の場合には、150万円が受け取れます。

 

 

・東京海上日動あんしん がん診断保険R

がん診断保険R」は、70歳までに払い込んだ保険料のうち、給付金として受け取らなかった分が戻ってくるというがん保険です。給付金を受け取らなかった場合、保険料が戻ってくるタイプの商品なので、他のがん保険に比べて保険料が高く設定されています。

保険料試算例

被保険者:35歳男性
保険期間:終身
保険料払込期間:終身
診断給付金:200万円
月額保険料:7,356円

 

診断給付金に設定できる保障額は?

診断給付金は100万円または、200万円で設定できます。

 

診断給付金を複数回受け取れるか?

2年に1回を限度に複数回、回数無制限で診断給付金を受け取ることが可能です。

 

上皮内新生物の場合も保障されるか?

上皮内新生物と診断された場合も悪性新生物の場合と同額の診断給付金を受け取ることができます。

ただし、上皮内新生物の場合、診断給付金が受け取れるのは、保険期間を通じて1回限りです。悪性新生物の場合のように複数回受け取ることはできません。

 

 

 

4.診断給付金(一時金)のみのがん保険の選び方

診断給付金(一時金)の保障に絞ったがん保険に加入する際には、下記のポイントについて確認することが重要です。

 

・診断給付金(一時金)は複数回受け取れる?

診断給付金(一時金)が初回のみしか受け取れないのか、または複数回受け取れるのかは非常に重要なポイントです。

診断給付金(一時金)が初回のみしか受け取れないと、がんが再発・転移した場合に全く対応できません。

最近では、早期発見で早期治療が進んでいるので、がんの再発で診断給付金(一時金)を複数回受け取れる可能性が昔に比べて上がっています。

よって、診断給付金(一時金)が複数回受け取れるかは、非常に重要なポイントです。

 

診断給付金(一時金)の額

診断給付金(一時金)のみにするのであれば、保障額は高めにしておく方がいいでしょう。

他の保障がない分、受け取った診断給付金(一時金)で入院費用、手術費用、通院費用などをまかなう必要があります。

健康保険が適用される治療しか受けないと決めている方であれば、高額療養費制度もあるので、診断給付金(一時金)の額は高くなくても問題はないでしょう。
医療保険は不要!?高額療養費について理解しておくべきポイント

しかし、あらゆる治療方法を選択肢として持っておきたいと考えるのであれば、診断給付金(一時金)の保障額は可能な限り高めに設定しておく方がいいことは間違いありません。

 

上皮内新生物(上皮内がん)は保障対象か?

上皮内新生物(上皮内がん)が「診断給付金(一時金)」の保障対象になるかは、そんなに大きなポイントではありません。

一般的に上皮内新生物(上皮内がん)は適切に治療すれば、再発・転移の恐れがほとんどありませんので、治療が長引いたり、治療費が高額になったりする可能性は低いです。

よって、上皮内新生物(上皮内がん)が保障対象となるかについては、がん保険選びの際に重視する必要はないでしょう。

 

 

 

5.三大疾病保険と診断給付金(一時金)との違いとは?

がんと診断されるとまとまったお金が受け取れるというと三大疾病(さんだいしっぺい)保障保険を連想する方もいらっしゃると思いますが、がん保険の診断給付金(一時金)とは何が違うのでしょうか。

三大疾病保険と診断給付金(一時金)の違いは下記の通りです。

 

・三大疾病保険とは?

三大疾病保障保険は、がん(悪性新生物)急性心筋梗塞脳卒中で保険会社所定の状態になった場合、生前に保険金が受け取れる商品です。

また、三大疾病にならなくても、保険期間中に被保険者が死亡した場合には「死亡保険金」が支払われ、被保険者が高度障害状態になった場合は、「高度障害保険金」が支払われます。

 

・三大疾病保障保険と診断給付金(一時金)との比較

三大疾病保障保険と診断給付金(一時金)の大きな違いは保障範囲です。

診断給付金(一時金)は、がんの保障のみですが、再発や転移した場合には一時金を複数回受け取れる商品もあります。

一方、三大疾病保障保険は、がんだけでなく、脳卒中や急性心筋梗塞も保障の対象となります。また、死亡時には、「死亡保険金」、高度障害状態になれば、「高度障害保険金」が受け取れます。

しかし、三大疾病保障保険の場合、保険金を受け取ると契約は消滅します。例えば、がんと診断されて「三大疾病保障保険」を受け取ると、契約は消滅し、再発や転移した際に再度、保険金を受け取ることはできません。

 

・三大疾病保障保険と診断給付金(一時金)の保険料比較

三大疾病保障保険は保障範囲が広い分、保険料も診断給付金(一時金)のみのがん保険に比べて下記の通り高くなります。

がん保険 保険料試算例

被保険者:35歳男性
保険期間:終身
保険料払込期間:終身
悪性新生物診断給付金:300万円
月額保険料:5,281円

三大疾病保障保険 保険料試算例

被保険者:35歳男性
保険期間:終身
保険料払込期間:終身
保険金額:300万円
月額保険料:6,690円

 

 

 

まとめ

診断給付金(一時金)のみのがん保険の特徴や加入する際の注意についてご理解いただけたでしょうか。

診断給付金(一時金)のみのがん保険を検討する際には、下記の点を確認してください。

  • 診断給付金(一時金)を複数回受け取れるか?
  • 診断給付金(一時金)の額は?

医療保険に加入している方が、がんの保障を追加したいという場合に一時金のみのがん保険に加入するという使い方もできるでしょう。

No.367

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