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生命保険や医療保険もクーリングオフの対象?

保険を契約した後に契約手続前はいいと思っていても、考えなおしてキャンセルしたいと思うこともあると思います。

特に生命保険や医療保険を契約した場合には、何十年と保険料を払い続ける必要がありますので、本当に契約して良かったのかという考えが浮かんでくることもあるでしょう。

そのような際に役立つのが「クーリングオフ制度」です。実は保険契約でも「クーリングオフ制度」が利用できます。生命保険や医療保険もクーリグンオフが可能です。但し、クーリングオフ制度を利用するには一定の条件があります。

今回は保険契約の「クーリングオフ制度」についてご紹介します。

1.クーリングオフとは?

クーリング・オフとは、契約した後、頭を冷やして(Cooling Off)冷静に考え直す時間を消費者に与え、一定期間内であれば無条件で契約を解除することができる制度です。

保険の営業が突然家に来て、冷静に判断できないまま保険の契約をしてしまったが、後で冷静に考えてみたら自分には不要だと思うような場面もあると思います。

そのような際に保険契約もクーリング・オフが可能です。一定の期間内であれば無条件で契約を解除できます。

クーリング・オフってなに?

特定商取引法やその他の法律に定められた消費者を守る特別な制度です。

 クーリング・オフは、消費者が訪問販売などの不意打ち的な取引で契約したり、マルチ商法などの複雑でリスクが高い取引で契約したりした場合に、一定期間であれば無条件で、一方的に契約を解除できる制度です。

(出典:国民生活センター

 

 

 

2.生命保険や医療保険のクーリングオフ

生命保険や医療保険などの保険契約もクーリングオフ制度の対象となっています。

クーリングオフの内容を記載した書面を受け取った日または申込日もしくは第1回保険料が着金した日のいずれか遅い日から8日以内であれば契約者は書面により申込の撤回、契約の解除を行うことができます。

保険会社によっては8日以内とういうクーリングオフ可能な期間を10日以内や15日以内と長くしている場合もあります。書面が8日以内に保険会社に到着している必要はなく、期間内の消印があれば有効です。

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3.自動車保険や火災保険はクーリングオフの対象外?

全ての保険契約がクーリング・オフの対象というわけでありません。下記の場合はクーリング・オフ対象外となります。

クーリングオフ対象外となる場合

・医師による診査を受けた場合
・保険期間が1年以下の短期の契約の場合
・一定の条件の下、保険会社の営業所等で契約した場合
・法人が契約者である場合
・法律上保険に加入することが義務付けられている場合(自賠責保険等)
・更改契約(継続契約)   など

生命保険に加入する際に医師の診査を受けた場合や、自動車保険や火災保険のように保険期間が1年以下の契約の場合はクーリングオフの対象外です。

自動車保険や火災保険などの損害保険契約の多くが1年契約ですので、損害保険契約のほとんどが、クーリングオフの対象とはなりません

ただし、通販型(ダイレクト型)の自動車保険の場合には、保険期間が1年でもクーリングオフを受け付ける保険会社もあります。例えば、ソニー損保では、保険証券(継続証)が手元に到着してから8日以内であれば、郵送でクーリングオフを受け付けています。

セゾン自動車火災保険チューリッヒイーデザイン損保などもクーリングオフ制度が設けられています。一方、SBI損保のようにクーリングオフを受け付けない通販型の保険会社もあります。

また、損害保険ジャパン日本興亜のような大手損保会社も保険期間1年以下の自動車保険はクーリングオフできません。ただし、保険期間が1年を超える長期の自動車保険や火災保険契約はクーリングオフ制度の対象です。

 

 

 

4.クーリングオフすると保険料は返金される

クーリングオフすると払い込んだ保険料は速やかに契約者に全額返還されます。但し、契約開始後にクーリングオフする場合には、保険始期日から契約解除日までは保険料を支払う義務があり、日割りで請求される場合があります。

 

 

 

5.保険をクーリングオフするとペナルティが発生するのか?

生命保険や医療保険、自動車保険などをクーリングオフしたからといって契約者に対してペナルティが発生することはありません。

クーリングオフしたからといって保険会社や代理店から損害賠償を請求されたり、違約金を請求されることはありませんので、安心してクーリングオフ制度を利用できます。

 

 

 

6.クーリングオフの手続き方法

クーリングオフは書面(ハガキまたは封書)にて行う必要があります。口頭や電話、メールではクーリングオフは受け付けてくれません。書面(ハガキまたは封書)の発信時(郵便の消印日付)に効力を生じますので、郵便で期間内に保険会社宛てに送付する必要があります。

書面を送ったという証拠を残すために内容証明郵便を利用した方が安心ですが、相手は保険会社なので、そこまでする必要なないように感じます。

尚、代理店ではクーリングオフの申出を受け付けることはできません。直接、保険会社に書面を送付する必要がありますので、ご注意ください。

 

 

 

7.保険のクーリングオフ書面の書き方と記載例

保険のクーリングオフ書面(ハガキまたは封書)の書き方と記入項目は下記の通りです。

書面への記入項目例

●記入日
●申込の撤回意思
●契約者の自署・住所・電話番号・生年月日
●契約者氏名
●被保険者の氏名
●証券番号(証券が手元にある場合)
●取扱代理店名
●返金先口座

※保険会社によって記載項目は異なりますので、詳細はパンフレットや約款等をご確認ください。

 

クーリングオフ書面の書き方

〇〇生命株式会社 御中

私は契約の申し込みの撤回を行います。

契約者 せいめい 太郎
被保険者 せいめい 花子
証券番号 12345678
取扱代理店 セイメイ保険代理店

返金口座 セイメイ銀行 〇〇支店 普通1234567 セイメイ タロウ

平成〇〇年〇月〇日
住所 東京都〇〇区〇〇町1-2-3
電話番号 03-1234-5678
生年月日 昭和30年1月1日
氏名(自署) せいめい太郎

 

 

 

8.保険契約のクーリングオフと解約の違い

クーリング・オフとは、保険契約の撤回または契約の解除となっていますが、解約とは何が違うのでしょうか。

一見、クーリング・オフも解約も同じようなものと感じる方もいるかもしれませんが、下記のような点が異なります。

 

クーリング・オフすると上記の通り、原則として払い込まれた保険料は全額返金されます。しかし、解約の場合に返還されるのは未経過分だけです。

例えば、生命保険の契約をし、年払保険料1万円を払い込んだとします。その後、クーリング・オフ対象期間である8日を過ぎた9日目以降に解約を申し出たとすると、未経過分の保険料が返還されます。既経過分の保険料は返還されません。

原則、払い込んだ保険料が全額返還されるクーリング・オフとはこの点が異なります。

仮に契約成立後、1ヶ月目に解約し1ヶ月分の保険料が1,000円だとすると、未経過分の保険料である9,000円が返還されます(未経過分の保険料は月割りで返還されます)。

尚、未経過保険料とは年払や半年払時に発生するもので、月払や一時払いには未経過保険料はありません。

 

 

 

まとめ

生命保険や医療保険などは、クーリングオフの対象となりますので、契約をしたことを後悔している場合は、クーリングオフ対象期間内に書面にてお手続きしていただければと思います。

ただし、生命保険に加入する際に医師の診査を受けた場合や、保険期間1年以内の短期契約などはクーリングオフの対象外となっていますので、ご注意ください。

ご自身の保険契約のクーリングオフをご希望の場合には、保険会社のカスタマーセンタにお問い合わせ下さい。

最終更新日:2019年3月23日
No.16