相続について知っておきたい5つの基本

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2015年1月に相続税の基礎控除が「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に圧縮され、相続対策に注目が集まっています。相続対策を行う場合、民法と相続税法の違いなどの相続の基本を知っておかないと的外れな対策を行ってしまう可能性があります。

相続について知っておくべき基本中の基本について解説します。相続対策をする際の押さえておくべき基本的なポイントを知り、相続対策に役立てて頂ければと思います。


1.被相続人と相続人

まずは、相続の話をする際に必ず出てくる用語をご説明します。それが、『被相続人』と『相続人』です。

 

1)被相続人とは?

被相続人とは、財産を遺して亡くなった方のことです。


2)相続人とは?

被相続人の財産を引き継ぐ方のことです。

被相続人と相続人の事例は、以下の通りです。

【例】
夫(死亡)

上記事例の場合、被相続人は亡くなった夫となります。そして、相続人は妻と子の2人ということになります。

 

 

 

2.相続とは?

相続とは、被相続人(亡くなった人)の一切の権利義務を継承することです。

一切の権利義務ですので、土地や株などの有価証券、現金等のプラスの財産だけでなく、借入金や住宅ローンなどのマイナスの財産も相続時には引継ぐことになります。

相続というと、土地や現金などのプラスの財産を引き継ぐことをイメージされる方が多いのですが、プラスの財産よりマイナスの財産の方が多いと、差し引きマイナスの財産を引き継ぐことになる可能性もあります。

注意が必要なのが、保証人の地位です。被相続人が借金の連帯保証人であった場合、保証人の地位も相続人に引き継がれます。しかも連帯保証債務は、法定相続分で原則、分割されます。更に連帯保証債務は、確定していない債務なので、プラスの財産から差し引くこともできません。

借金の保証人になると相続時にも家族に迷惑を掛ける可能性があるので、注意が必要です。

会社(法人)の代表者の方は、借入金の連帯保証をしていることが多いと思いますので、そのような場合には、相続人に迷惑を掛けないように生命保険で対策をしておいた方がいいでしょう。

 

 

 

3.相続の3形態

相続とは上記の通り、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も引き継ぐ可能性がりますので、相続時には、3つの選択肢が用意されています。

相続人は、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に相続するかどうかの意思決定を行う必要があり、選択肢としては、「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」の3つがあります。

それぞれの内容は下記の通りです。

 

1)単純承認

単純承認は限定承認や相続放棄と違い、手続きが不要です。被相続人の「プラスの財産」も「マイナスの財産」も無条件に相続することになります。

但し、単純承認したつもりがなくても、下記のような場合には単純承認したとみなされますので注意が必要です。

①限定承認や相続放棄を選択する前に財産の全部または一部を処分した場合
②限定承認や相続放棄を選択した後に財産の全部また一部を隠ぺい、消費などした場合
③限定承認や相続放棄の手続きをせず、3ヶ月の熟慮期間を経過した場合


2)相続放棄

被相続人の財産について「プラスの財産」も「マイナスの財産」も一切引き継がない意思表示を相続放棄といいます。相続放棄した場合は、初めから相続人でなかったとみなされます。したがって、相続放棄した場合には代襲相続は発生しません。

相続放棄の要件は下記の通りです。

①相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出る。
②各相続人が単独で放棄できる。

尚、相続放棄の意思表示は相続開始前に行うことはできません。


3)限定承認

「プラスの財産」の範囲内で「マイナスの財産」を引き継ぐことを限定承認といいます。「プラスの財産」を超える「マイナスの財産」については、責任を負う必要がなくなります。

限定承認をするには次のような手続きが必要です。

①相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出る
②相続人全員で家庭裁判所に限定承認する旨を申し出る

上記の通り、「単純承認」以外の選択肢である「相続放棄」や「限定承認」を希望する場合には、相続の開始を知ったときから3ヶ月の間(熟慮期間)に手続きをする必要があります。熟慮期間を過ぎると、原則、単純承認以外の選択ができなくなりますので、ご注意ください。

 

 

 

4.「相続放棄」と「相続分の放棄」の違い

相続放棄について上記の通り解説しましたが、多くの方が「相続放棄」と「相続分の放棄」を混同されています。

上記の通り、「相続放棄」するには、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。

一方、「相続分の放棄」とは、相続人間で行う遺産分割協議の際に自分の相続分を相続しないという選択をすることです。

「相続放棄」をすれば、プラスの財産およびマイナス財産の両方を放棄したことになりますが、「相続分の放棄」はプラスの財産を放棄する意思表示をしたことにしかならず、マイナスの財産については、相続することになってしまいます。つまり、仮にプラスの財産とマイナスの財産の両方があった場合、「相続分の放棄」をすると、マイナスの財産のみを相続することになってしまいます。

相続分の放棄の問題点については、下記記事で詳細に解説していますので、ご参照ください。
「相続放棄」と「相続分の放棄」何が違う?

 

 

 

5.民法と相続税法

一般の方の中には、民法と相続税法がごちゃまぜになっている方がいます。相続対策を行う際には、民法と相続税法の違いを理解しておく必要があります。

相続財産の分割については、民法に規定されています。つまり、法定相続割合など、相続の基本的な決まりが民法に規定されています。

一方、相続税の算出など、相続税については、相続税法に規定されています。

上記のように民法と相続税法とでは作られた目的が異なるので、下記事例のような違いが発生する部分があります。

例えば、生命保険の死亡保険金は、民法(判例)では相続財産ではなく、受取人固有の財産となっていますが、相続税法上は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。

また、養子については、民法上は何人でも養子縁組をすることが可能ですが、相続税法では、養子は実子がいれば1人、実子がいなければ2人までが法定相続人の数に算入できます。

つまり、民法上は養子の人数に上限はありませんが、相続税を計算する際の基礎控除や生命保険の非課税枠の「法定相続人の数」に算入できる養子の人数については、上記の通り制限があります。

 

 

 

まとめ

今回は、相続の基本中の基本をご紹介しました。

特に民法と相続税法の違いについては、ご理解頂きたいと思います。相続税対策ばかりに注目してしまうと、分割で「争族」になってしまう可能性があります。

相続についての基本的なポイントを押さえて、対策を行って頂ければと思います。

 

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2017年7月24日 | カテゴリー : 相続 | 投稿者 : 保険FP