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自然災害に対しての火災保険や車両保険などの補償(保障)まとめ

地球温暖化の影響で異常気象が続き、毎年各地で大雨の被害が発生します。2015年(平成27年)にも台風18号等の大雨の影響により茨城県の鬼怒川や宮城県の渋井川、吉田川等が決壊・氾濫し、甚大な被害が発生しました。

毎年のように台風等の大雨の災害で多くの住宅や車が流されている映像がニュースで報道されていますが、住宅や家財、自動車などの損害は保険で補償されるのでしょうか?

今回は、自然災害による家屋や自動車の損害、ケガ等に対して加入されている保険でどのような補償(保障)があるのかをまとめてみました。

どのような保険に加入しておけば、自然災害に対して備えられるのかの参考にして頂ければと思います。

1.火災保険(建物・家財)の自然災害に対する補償

火災保険に加入していれば、台風等の大雨、河川の氾濫・決壊などによる災害によって建物(住宅)や家財に損害が発生した場合、補償される可能性があります。ただし、下記の点にご注意ください。

 

1)水災の補償がセットされているか?

水災の補償を外されているか、そもそも水災の補償がない商品に加入されている場合には、補償されません。一度、ご加入の火災保険の補償内容をご確認ください。

最近の火災保険は補償内容が選べるタイプの商品があり、水災の補償を外して契約することも可能です。水災の補償を外すと保険料が安くなるので、保険料節約のために水災補償をセットされていない方もいらっしゃると思います。

しかし、水災の補償を外して契約されている場合は、当然のことならがら水災の損害に対しては、補償対象外となります。

川などが近くに自宅があるなど、水害・水災の可能性が少しでもあるのであれば、水災補償は必要性が高い補償です。現在のような異常気象では、どこで水害・水災が起こってもおかしくありません。

特に住宅ローンが残っているような場合には、保険料は高くなりますが、水災補償をセットすることをおすすめします。

住宅ローンが残っている状態で、火災保険に水災補償をセットせず、河川の氾濫などの被害に遭ってしまうと、二重でローンを抱えてしまうことになります。

 

2)水災が補償される条件

水災補償のある火災保険に加入していても下記のような条件を満たさないと補償対象になりませんので、注意が必要です。

水災が補償される条件

台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮等によって損害額が再調達価額の30%以上となった場合または床上浸水または地盤面より45㎝を超える浸水を被った場合

上記条件は保険会社ごとに若干異なる場合があります。

火災保険の水災補償については、下記記事をご参照ください。
ゲリラ豪雨の損害は火災保険で補償される?

 

 

 

2.車両保険(自動車保険)の自然災害に対する補償

台風等による大雨で車に損害が発生した場合には車両保険で補償されます。

車両保険には補償範囲の広い「一般型」と補償範囲を絞った「エコノミー型」がありますが、どちらのタイプの車両保険でも水災により車が水没した等の損害が補償されます。

車両保険の補償タイプ(種類)については、下記記事をご参照ください。
車両保険の補償を絞って保険料節約!?(車両保険の種類)

 

 

 

3.対人・対物賠償保険(自動車保険)の自然災害に対する補償

対人・対物賠償責任保険については、台風、洪水または高潮によって損害が生じた場合は、補償対象外となっています。

また、地震・噴火またはこれらによる津波よって生じた損害も補償対象外となっています。

意外と思われるかもしれませんが、台風、洪水または高潮等によって生じた損害については、法律上の賠償義務が発生しないことが多いことから補償対象外となっています。

例えば、車が洪水で流され家の壁に激突し、家の壁を壊してしまった場合、流された車に過失はなく不可抗力なので、壁の損害を賠償する義務は発生しません。

よって、上記のような事例の場合には、対物賠償保険も補償対象外となります。

対人賠償責任保険とは?

対人賠償責任保険は、契約の車の事故により、他人を死亡させたり、ケガをさせ、法律上の損害賠償責任を負う場合に補償されます。

対物賠償責任保険とは?

対物賠償責任保険は、契約の車の事故により、車等の他人のモノを壊して、法律上の賠償責任を負う場合に補償されます。

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4.傷害保険の自然災害に対する補償

傷害保険に加入されている場合は、台風等の大雨によりケガをしたり、亡くなった場合等には補償対象となります。支払われる保険金としては、下記のようなものがあります。

  • 死亡保険金
  • 後遺障害保険金
  • 入院保険金
  • 通院保険金
  • 手術保険金

 

 

 

5.生命保険、医療保険の自然災害に対する保障

台風、大雨等の自然災害が原因でケガをし、入院した場合、医療保険からは災害入院給付金が支払われます。

また、台風、大雨等が原因で死亡した場合には、生命保険からは死亡保険金が支払われます。災害割増特約、傷害特約の付帯があれば台風、大雨等が原因で180日以内に死亡したり高度障害状態や所定の身体障害状態になった場合、特約保険金が上乗せして支払われます。

 

 

 

6.自然災害時の保険料の払込、手続きの猶予

大きな自然災害が発生し、多くの方の生命や身体が危害を受け、又は受ける恐れが生じる場合、災害が発生した地域に災害救助法が適用されます。

災害救助法が適用されると、損害保険、生命保険ともに「契約手続」や「保険料の支払い」等に一定期間の猶予期間が設けられ特別措置が実施されます。

 

1)損害保険の特別措置

災害救助法が適用されると、適用された地域に住んでいて被害を受けた場合、自動車保険、火災保険、傷害保険等の「継続契約の締結手続」や「保険料の支払い」に一定期間の猶予期間が設けられます。

「継続契約の締結手続」については、最長6か月間、猶予されます。また、「保険料の支払い」についても最長6か月間、猶予されます。

継続契約の継続手続や保険料の支払いが猶予されることによって、契約継続手続きができなかったり、保険料の支払いが困難な場合でも補償が切れることなく継続します。

 

2)生命保険の特別措置

生命保険に関しては、災害救助法が適用された場合、「保険料払込猶予期間の延長」と、「保険金の支払および契約者貸付の簡易迅速な対応」の特別措置が行われます。

「保険料払込猶予期間の延長」は申し出により、保険料の払込みについて猶予期間が最長6カ月間まで延長されます。

「保険金の支払および契約者貸付の簡易迅速な対応」については、申し出により、必要書類を一部省略するなど、通常の場合よりも簡易な取り扱いが実施されます。

ちなみに災害救助法とは、災害直後の応急的な生活の救済などを定めた日本の法律です。災害救助法の目的は下記の通りとなっています。

災害に際して、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、 応急的に、必要な救助を行い、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ること。

 

 

 

まとめ

今回の補償内容等についての説明は、一般的なもので、実際の契約内容や個別の状況によっては、保険会社毎に対応が異なる場合がありますので、具体的な補償(保障)内容等については、ご加入の保険会社にお問い合わせください。

また、大きな災害の場合、保険料の支払いが猶予されたり、契約者貸付の迅速化などの特別措置が実施される行われる可能性がありますので、ご活用頂ければと思います。

最終更新日:2019年7月3日
No.209