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10年を超える火災保険契約は出来ない!?

2015年10月1日に火災保険が改定されることをご存知でしょうか?全体的に保険料は値上げされますが、物件の所在地(都道府県)や建物の構造によって異なります。

また、保険期間10年を超える火災保険の長期契約が廃止になります。

今回は、目前に迫った火災保険の改定についてご紹介します。

 

1.なぜ、10年超の契約は引受停止となるのか?

保険期間10年超の契約を廃止する理由としては、昨年(2014年)7月に損害保険料率算出機構により火災保険の参考純率の適用期間を10年までとする改定が実施されたためです。

昨今の温暖化等による異常気象を受けて、長期のリスクを判断することが難しくなったということで、参考純率の適用期間を10年までとする改定が実施されました。

2015年9月30日始期契約までは、住宅ローンに合わせて最長36年間の契約が可能ですが、2015年10月1日以降契約からは保険期間10年が最長になります。

但し、改定されるまでに契約した10年を超える契約に関しては2015年10月1日以降も有効です。

 

 

 

2.保険料は上がる?下がる?

今回の改定で保険料は上がるのでしょうか?下がるのでしょうか?

冒頭でも少し触れましたが、全体的に保険料は引上げの傾向です。しかし、契約の内容によって、保険料が上がる場合、下がる場合、また、据え置きになる場合があります。

都道府県ごとの建物保険料改定イメージは下記の通りです。
(三井住友海上2015年10月1日以降契約の例)

都道府県 保険料改定イメージ
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、
宮崎県、鹿児島県、沖縄県
大きく引上げ。
秋田県、山形県、福井県、岐阜県、三重県、
山口県、徳島県
全体的に大きく引上げ。構造級別に
よっては小幅な引き上げに収まる場合
もある。
青森県、岩手県、千葉県、神奈川県、長野県、
静岡県、愛知県、和歌山県、鳥取県、高知県
全体的には引上傾向。構造級別に
よっては大きく引上げの場合や、
ほぼ据え置き、若干の引下げの場合
もあり。
北海道、茨城県、新潟県、山梨県、滋賀県、
兵庫県、奈良県、岡山県、広島県、愛媛県
構造級別によって引上げの場合、据え
置きの場合、引下げの場合がある。
宮城県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、
東京都、富山県、石川県、京都府、大阪府、
島根県、香川県
全体的には引下げ傾向。構造級別に
よっては引上げの場合もあり。

 

 

 

3.火災保険の長期契約はお得

さて、10年を超える契約は改定で出来なくなりますが、長期契約はどの程度お得なのかを確認したいと思います。

火災保険を長期契約にして保険料節約』でもご紹介しましたが、火災保険は長期で一括払いすると安くなります。

火災保険には長期係数があり、保険期間が長いほど保険料が安くなる仕組みになっています。

期間 係数 期間 係数
1年 1.00 19年 15.04
2年 1.85 20年 15.71
3年 2.70 21年 16.38
4年 3.50 22年 17.05
5年 4.30 23年 17.72
6年 5.25 24年 18.33
7年 6.08 25年 19.00
8年 6.90 26年 19.62
9年 7.67 27年 20.24
10年 8.45 28年 20.86
11年 9.22 29年 21.48
12年 9.99 30年 22.09
13年 10.71 31年 22.66
14年 11.48 32年 23.28
15年 12.21 33年 23.84
16年 12.93 34年 24.41
17年 13.65 35年 24.98
18年 14.32 36年 25.54

例えば、1年間の保険料が1万円だとすると、10年間の保険料は10倍の10万円になりますが、これを長期一括払いで契約すると、10万円に10年の長期係数8.45を掛けて、84,500円になります。

つまり、1年毎に契約を更新していく場合と比べて、10年間を長期で契約すると、15.5%安くなるということになります。

最長期間の36年では割引率は、29%にもなります。

 

 

 

4.長期一括払いの保険料

では、実際に長期契約でどの程度保険料が安くなるかを試算してみたいと思います。

 

【試算条件(平成27年9月現在)】
保険会社:東京海上日動
商品:『トータルアシスト 住まいの保険』
所在地:大阪府
補償パターン:戸建充実タイプ
構造級別:T構造(鉄骨)
建物保険金額:2,000万円

保険期間1年
保険料:18,200円

保険期間10年
保険料:143,050円

保険期間15年
保険料:206,750円

保険期間20年
保険料:266,080円

保険期間30年
保険料:374,370円

1年間の契約を30年間、更新し続けたと考えたら、546,000円です。それを30年の長期一括払いにすると、374,370円で、その差は、171,630円にもなります。

 

 

 

5.改定の影響を回避する方法

今年(2015年)9月30日までに長期で契約をすれば、10年を超える契約をすることが可能です。

長期で契約すると物件の所在地や建物の構造によって保険料が値上げされるますが、その値上げも回避できます。しかし、今後、値下げが実施された場合は、逆に損になる可能性はあります。

今後の気象条件や地域にもよりますが、今般の異常気象を考えると近い将来で火災保険が大きく下がる可能性は低いと考えてもいいのではないでしょうか?

10月までに満期が来る契約の方は一度、長期での契約を検討されてはいかがでしょうか?満期が来ない場合でも途中で解約して長期で再契約するということも可能です。

 

 

 

6.長期契約にデメリットはないのか?

ここまでは長期契約のメリットをご紹介しましたが、逆にデメリットはないのでしょうか?

長期契約のデメリットとは下記のような点です。

・1年の契約に比べて、一時的な負担が重い
・長期のため、保険の契約内容を忘れる可能性がある
・長期の契約期間に火災保険が値下げされる可能性がある

1年の契約に比べて、長期の契約は割安なのですが、一括で保険料を支払う必要があるので、一時的な負担はどうしても重くなります。

特に保険料が高い木造の建物の場合は相当な負担になります。

上記の鉄骨の試算例と保険金額を同条件にした場合の木造と鉄筋コンクリート造りのマンションの保険料例は下記の通りです。

 

木造一戸建て
30年間保険料:858,390円

マンション(鉄筋コンクリート)
30年間保険料:189,040円

また、30年の契約をすると、契約内容を忘れる可能性があります。そのような場合、契約内容を見直す必要があるのに見直しができず、問題が発生する可能性があります。

 

 

 

まとめ

2015年10月の改定で全ての火災保険契約が値上げされるわけではありません。前述の通り、物件の所在地(都道府県)、建物の構造で保険料が下がる場合、据え置きの場合もありますので、ご注意ください。

 

No.92

保険FP: