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海外旅行保険

クレジットカードに自動付帯の海外旅行保険だけで大丈夫?

長期で休暇が取れる際には、海外旅行に出かける方も多いと思いますが、今一度、海外旅行保険についてご確認いただきたいと思います。

クレジットカードに海外旅行保険が付帯されているから大丈夫と言われる方がいますが、補償内容を確認せずに、そう考えるのは危険です。

漠然と補償内容が十分かを考えるのではなく、実際の保険金支払い状況を確認し、ご自身の補償内容が十分かどうか検討されてはいかがでしょうか?

クレジットカードに付帯されている海外旅行保険の注意点について解説します。

1.実際の保険金支払事例

ジェイアイ傷害火災保険は海外旅行保険の事故データを公表しています。

2015年度 海外旅行保険事故データ

データを確認してみると、補償項目別の事故件数では、ケガや疾病の治療費用や医療搬送費用等を補償する「治療・救援費用」が最も多く、次いで手荷物を補償する「携行品損害」、偶然な事故を補償する「旅行事故緊急費用」と続きます。

 

1位:治療・救援費用(49.0%)
2位:携行品損害(32.5%)
3位:旅行事故緊急費用(13.9%)

地域により事故の状況が大きく異なっているようです。ヨーロッパやアフリカでは「携行品損害」、アジアやオセアニアでは「治療・救援費用」、グアム・サイパンでは「旅行事故緊急費用」の事故が多くなっています。

高額医療事故(治療・救援費用保険金支払300万円以上)の地域別のデータもあるのですが、9,335万円(アメリカ)や6,080万円(ハワイ)などがあり、非常に高額な保険金支払事例があります。

さて、上記のデータをもとに実際にクレジットカードの海外旅行保険の補償内容を確認するうえで注意して頂きたい点は下記の通りです。

 

事故事例から考える海外旅行保険の必要性については下記記事もご参照ください。
海外旅行保険は必要か?

 

 

 

2.傷害と疾病の治療費用保険金が低い

クレジットカードの「治療・救援費用」は200万~300万円程度です。実際の高額医療事故の支払事例(9,335万円(アメリカ)や6,080万円(ハワイ)など)をみると、心許ない気がします。

保険会社の海外旅行保険では「治療費用」が無制限というプランもあります。クレジットカードの海外旅行保険と比較して頂くため、ある保険会社の「治療費用」が無制限のプランを試算してみましたが、下記の通り保険料は2,490円です。

2,490円でももったいないと言われたらそれまでですが、それを節約して高額な医療費を支払うリスクを負うのはどうかと思います。

 

【保険会社の海外旅行保険例】
目的地:アジア
保険期間:3日

治療費用:無制限
傷害死亡・後遺障害:3,000万円
疾病死亡:3,000万円
救援者費用:3,000万円
賠償責任:1億円
携行品損害:30万円
保険料2,490円

次にあるクレジットカードに付帯されている海外旅行保険の補償内容をご紹介します。

【クレジットカードの補償内容例】
保険期間:90日間

傷害治療費用:200万円
疾病治療費用:270万円
傷害死亡・後遺障害:500万円
救援者費用:100万円
賠償責任:2,000万円
携行品損害:20万円

保険会社の海外旅行保険と比較すると、疾病死亡の補償がない点や、賠償責任の保険金額が低いなど補償が見劣りします。その中でも一番の問題点は、傷害治療費用の補償が200万円、疾病治療費用の補償が270万円しかない点です。

 

 

 

3.カードの利用が条件の場合がある

海外旅行保険が自動付帯というカードも多いのですが、その中で旅行代金の支払いがカード利用でないと補償が付かないというものもあります。自動付帯と思っていたら、カード利用が条件で、必要な時に補償がないということも起こる可能性があります。

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4.保険期間は90日間

クレジットカードに付帯されている海外旅行保険の保険期間は1旅行につき最長90日(3ヶ月)間です。90日(3ヶ月)間以上、海外に滞在するような旅行の場合には、クレジットカード付帯の海外旅行保険だと、途中で補償が切れてしまいます。

 

 

 

5.病院の手配等、現地でのサービスが不足

保険会社の海外旅行保険だと、事故等のトラブルの際に日本語で対応してくれるスタッフがいて、病院等の手配をしてくれるサービスがありますが、クレジットカード付帯の保険だと、事故対応を自分で行う必要があるカードもあります。

また、治療費についてもクレジットカード付帯の保険の場合、立替払いが必要なカードがありますが、保険会社の場合は、基本的に立替払いは不要で、保険会社が現地の医療機関に直接支払います。

 

 

 

6.クレジットカードを複数枚所有していると、補償が合算される?

クレジットカードを複数枚所有している場合、死亡保険金は合算されませんが、それ以外の補償は合算されます。「治療・救援費用」の補償が少ないクレジットカードも複数枚所有していれば、合算されて補償額が上がります。

例えば、「治療・救援費用」の補償額が200万円のクレジットカードを2枚持っていれば、合計で400万円の補償になります。

尚、クレジットカードにセットされた海外旅行保険の補償に上乗せるする形の商品を販売している保険会社もあります。クレジットカード付帯の海外旅行保険に不足しがちな補償項目(治療・救援費用、疾病死亡、弁護士費用)に絞った「クレカ上乗せプラン」に加入すれば、補償を充実させつつ保険料の節約が可能です。

 

 

 

まとめ

海外旅行保険とクレジットカード付帯保険の違いをマンガで説明したエイチ・エス損害保険のサイトも参考にして頂ければと思います。
クレジットカード VS 海外旅行保険

クレジットカード付帯の保険の問題点を知って頂いて、カードの海外旅行保険だけでよいと判断しているのであれば問題ないですが、何も考えずにカードに保険が付いているからと安心するのは危険だと思います。

是非一度、ご自分のカードの補償内容がどの程度なのかをご確認ください。

最終更新日:2017年11月29日
No.110