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自動車保険

日本でもテレマティクス保険の普及進む

欧米では広く普及しつつあるテレマティクス保険ですが、日本でも少しずつ普及しつつあります。

運転の内容によって保険料が安くなる可能性があるテレマティクス保険に注目されている方が多いと思います。そこで、2016年2月1日より提供が開始されている東京海上日動のテレマティクス技術を活用したサービスについて、その内容をご紹介します。

テレマティクス保険は、契約者の方にどうようなメリットがあるのかを確認したいと思います。

1.テレマティクス保険とは?

まず、テレマティクス保険とは何かをご存知ない方もいると思いますので、簡単にご説明します。

テレマティクス保険とは、車の走行距離や走行特性(急発進・急減速等)を収集・分析し、ドライバーの運転特性の評価内容によって保険料を算出する自動車保険です。テレマティクス保険には、PAYD(走行距離連動型)と、PHYD(運転行動連動型)の2種類があります。

「PAYD(走行距離連動型)」とは、「Pay As You Drive」の略で、契約車両が実際に走行した距離によって保険料が増減する仕組みの自動車保険です。

「PHYD(運転行動連動型)」とは、「Pay How You Drive」の略で、運転者の運転特性(速度、加減速、ハンドル操作等)によって保険料を増減させる仕組みの自動車保険です。

安全運転と評価されるほど保険料が安くなる仕組みで、アメリカ、イギリス、イタリア等の保険会社では既にテレマティクス保険が販売され、普及しつつあります。

※「テレマティクス」は“テレコミュニケーション(通信)”と“インフォマティクス(情報科学)”を合わせた造語です。

 

 

 

2.東京海上日動のテレマティクスサービス

東京海上日動では、昨今、目覚ましく技術進展しているテレマティクスやIoT分野等の新技術を積極的に活用する方針です。その一環として、東京海上日動が有する自動車事故対応ノウハウやパイオニアが有する最先端の車載通信端末ノウハウ等を融合させ、先進的なテレマティクスサービス「ドライブエージェント」を開発しました。

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3.ドライブエージェントの概要

東京海上日動の「ドライブエージェント」は、映像記録型ドライブレコーダー機能や危険運転時のアラート機能、音声通信機能等を有する「ミラー型テレマティクス端末」を契約者に貸与し、下記のサービスを提供します。

・高度な事故対応サービス
・社有車の安全運転・運行管理ニーズへの対応
・事故防止支援機能

ミラー型テレマティクス端末(東京海上日動)

ドライブエージェントの概要は下記の通りです。

 

1)主なサービス内容

①高度な事故対応サービス
「ミラー型テレマティクス端末」が非常に強い衝撃(重大事故発生可能性)を検知した場合、東京海上日動安心110(事故受付コールセンター)へ自動発報されます。事故受付のオペレーターが状況を確認後、「ミラー型テレマティクス端末」の音声通話を使用してドライバーに保険事故対応の連絡をします。

上記以外の衝撃を検知した場合には、「ミラー型テレマティクス端末」画面上の表示ならびに音声で「衝撃検知」を知らせ、ドライバーが画面に表示された「事故」をタップすると東京海上日動安心110(事故受付コールセンター)へ事故連絡ができます。

上記いずれの場合にも、事故受付完了後に代理店ならびに企業の運行管理者宛てに事故受付情報をメールにて通知します。

②安全運転診断/運行管理(日次レポート等)
膨大な保険事故データと、東京海上日動リスクコンサルティングのノウハウを活用して安全運転診断や個々のドライバーの安全運転状況を見える化(得点化)します。また、契約者に業務スタイルに合わせた、日次・週次・月次レポートを提供します。

③事故防止支援機能
独自の画像センシング技術により、「ミラー型テレマティクス端末」が車線の逸脱等を検知した場合には、音声アラートを発信し、急ブレーキや急ハンドル、急発進を検知した際には警告音を発し、事故防止を支援します。

テレマティクスサービス・ドライブエージェント(東京海上日動)

 

2)サービス対象者

サービス対象者は、東京海上日動の自動車保険フリート契約(保険期間1年以下)に加入している法人契約者です。

本サービスは、「ミラー型テレマティクス端末」を搭載した車両(二輪・原付を除く)に対して提供されます。なお、保険契約車両のうち、任意の車両で本サービスの導入が可能です(保険契約全車両に本サーヒスを導入する必要はありません)。

また、東京海上日動では、ノンフリート契約向けに「ドライブエージェント パーソナル」として同様のサービスを提供しています。サービス利用料(特約保険料)は、月額650円(一時払・年払:7,480円)です。
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3)サービス利用料

サービス利用料は、「ミラー型テレマティクス端末」1台あたり月額1,600円(税抜)です。自動車保険の保険料とは別で口座振替(月払)又は請求書払(月払)で支払う必要があります。

4)保険料割引

「ミラー型テレマティクス端末」を搭載した車両に保険料割引(5%)を適用します。

※フリート契約とは、契約台数が10台以上の自動車保険契約です。一方、契約台数が9台以下の契約をノンフリート契約といいます。フリート契約は、事故が少なければ翌年度の優良割引率が上がる仕組みになっています。下図の通り、事故が削減できれば、次年度以降の優良割引率が上がり、保険料負担が軽減される可能性があります。

フリート優良割引

(損保ジャパン日本興亜のHPより抜粋)

 

 

 

4.他社のテレマティクスサービス比較

テレマティクス技術を活用したサービスを提供している保険会社が他にもありますので、ご紹介します。

 

損保ジャパン日本興亜

損保ジャパン日本興亜は、フリート契約者向けに「スマイリングロード」を提供しています。東芝製のドライブレコーダーを貸与する形のサービスです。サービス利用料は、車両の台数により1台あたり月額1,620円(税抜き)~1,800円(税抜き)です。

サービス対象は法人のフリート契約者ですが、損保ジャパン日本興亜で自動車保険を契約している必要はありません。

損保ジャパン日本興亜で自動車保険を契約し、「スマイリングロード」を全車両に導入した場合、自動車保険料が5%割引になります

なお、損保ジャパン日本興亜では、個人が記名被保険者(主に車を使用する方)であるノンフリート契約者向けに安全運転割引を導入しています。

スマホアプリの「ポータブルスマイリングロード」をダウンロードし、運転診断を一定期間実施すると、運転診断結果に応じて、自動車保険の保険料が最大20%割引となります。

 

三井住友海上

三井住友海上は、スマートフォンのアプリを利用した「スマNavi」を提供しています。「スマNavi」は、テレマティクス技術を活用した安全運転取組サービスを提供 し、取組結果に応じて自動車保険フリート契約の次回保険料を最大6%割り引くサービスです。

サービス対象は法人のフリート契約者ですが、三井住友海上で自動車保険を契約している必要はありません。また、利用料は無料です。

 

 

 

まとめ

テレマティクス保険が日本でも普及しつつあります。テレマティックス保険は保険料の削減だけでなく、安全運転を促すことにより事故自体を減らす効果もあると思います。

東京海上日動の「ドライブエージェント」は、「ミラー型テレマティクス端末」の使用料が1台あたり月額1,600円かかりますが、このサービスを導入することにより事故が削減され、フリート契約の優良割引率が上がるのであれば、月額1,600円/1台の使用量もフリート契約の内容によっては安いくらいではないかと思います。

個人向けのテレマティクス保険としては、あいおいニッセイ同和の「つながる自動車保険」やソニー損保の「やさしい運転キャッシュバック型」がありますが、ソニー損保の安全運転度を測定するドライブカウンタは簡単な装置で、東京海上日動や損保ジャパン日本興亜が有料で貸与しているような高度な機能が付いていません。

多くの個人向けの自動車保険では、保険料削減額がフリート契約ほど期待できず、ドライブレコーダーを有料で貸与するサービスは契約者にとって費用対効果が高くありません。ドライブレコーダーが有料で貸出ということであれば、個人の契約者で借りる方は非常に少ないのではないでしょうか。

個人向けには、三井住友海上の「スマNavi」や損保ジャパン日本興亜の「ポータブルスマイリングロード」のように利用料無料でスマホにアプリをダウンロードする形態が現実的でしょう。

最終更新日:2018年3月5日
No.193