借家人賠償責任補償と個人賠償責任補償、どちらが必要?

このエントリーをはてなブックマークに追加

賃貸住宅で火災を発生させてしまった場合、「個人賠償責任保険」に加入していれば、家主に対しての損害賠償義務が補償され、「借家人賠償責任補償特約」は不要ではないのか?というご質問を頂きました。

「個人賠償責任保険」があれば、「借家人賠償責任補償特約」は不要なのでしょうか?

まずは、「借家人賠償責任補償特約」と「個人賠償責任保険」の概要からご説明します。



1.借家人賠償責任補償特約とは?

一般的に賃貸物件については、賃貸借契約で借主に原状回復義務が定められています。賃貸物件を出る際はオーナーに対して原状回復して部屋を返す義務があります。

借家人賠償責任補償特約は、賃貸住宅で、火災、破裂・爆発、水濡れ、盗難事故を起こし、貸主に対して法律上の賠償責任を負った場合に補償されます。

保険会社によっては、法律上の賠償責任が発生しない場合でも、貸主との契約に基づいて借用戸室を修理した費用も補償する場合があります。

補償額については、保険会社によって異なる場合があり、限度額が2,000万円までの商品や1億円までという商品もあります。

借家人賠償責任補償特約の補償内容等の詳細については、下記記事をご参照ください。
借家人賠償責任補償特約は必要?


 

 

 

2.個人賠償責任保険とは?

個人賠償責任保険は日常生活における偶然の事故により、他人にケガを負わせたり、他人ものを壊してしまい、法律上の損害賠償責任を負った場合、被害者に支払うべき損害賠償金等を補償するものです。

現在では、個人賠償責任保険単独で販売している保険会社はほとんどありませんが、自動車保険や火災保険、傷害保険の特約として付帯が可能です。また、自転車保険として注目されているのもこの個人賠償責任補償です。

個人賠償責任保険や自転車保険の補償内容等の詳細については、下記記事をご参照ください。
自転車の事故で注目の個人賠償責任保険
自転車保険加入前に確認すべき6つのポイント


 

 

 

3.個人賠償責任保険では補償されない?

賃貸物件で火災を起こした場合、故意等でなければ、偶然の事故で他人(家主)の部屋に損害を与えたことになるので、個人賠償責任保険で補償されるように思えます。

しかし、個人賠償責任保険(以下、個賠)では、賃貸物件で火災等を起こした際のオーナーへの賠償責任は補償対象外になります。

なぜなら、個賠は本人や家族が他人から預かったり借りたりしている物を壊した場合の事故は補償対象外となっているからです。

つまり、借りている部屋で火災を起こした場合の家主に対しての損害賠償責任は、個賠では補償されないので、火災保険に「借家人賠償責任補償特約」(以下、借家賠)を付帯する必要があります。


 

 

 

4.個賠と借家賠両方必要?

賃貸物件に住んでいる場合には、借家賠と個賠の両方に加入していた方がベターです。実際の下記事例を考えて頂ければ、借家賠と個賠の両方が必要な理由が分かると思います。

賃貸マンションに居住中に水道の蛇口を閉め忘れ、自分の部屋と階下の住居を水浸しにしてしまった場合、階下の人への損害賠償責任と自分の部屋の床等の損害を家主に賠償する責任が発生します。

階下の方に対する損害賠償責任は、個賠で補償されます。

また、家主に対する損害賠償責任は借家賠で補償されることになります。


 

 

 

5.失火法が適用されない事故

火災により隣家を類焼させても重大な過失がなければ、失火法により損害賠償責任は発生しませんが、ガス爆発で近隣の住宅に損害を与えてしまった場合には、失火法の適用はなく、隣家に対しての損害賠償責任が発生します。また、寝たばこ等の重大な過失がある場合の失火についても隣家に対する損害賠償責任が発生します。

ガス爆発や重大な過失がある場合の失火による隣家の損害に対しての損害賠償責任については、個賠で補償されます。

上記のような理由からも個賠と借家賠は両方とも必要といえるでしょう。


 

 

 

まとめ

上記の通り、個賠と借家賠の補償内容は異なります。どちらか一方が必要というわけではなく、両方に加入しておいた方がベターであることは間違いありません。

個賠と借家賠の必要性については、下記記事でも解説していますので、ご参照ください。
なぜ日本では火災保険への加入が必要なのか?


 

No.223

こちらの記事も読まれています!

  • タンス預金は安全?危険? 2015年の相続税の増税や日本銀行のマイナス金利政策、マイナンバー制度の導入等の影響により、銀行預金を引き出して現金を自宅で保管するタンス預金が増えているようです。 タンス預金のための家庭用金庫も売れているそうですが、本当にタンス預金は銀行に預けておくより安全なのでしょう […]
  • 借家人賠償責任補償特約は必要? 『なぜ日本では火災保険への加入が必要なのか?』で日本には失火法があるので、失火で隣家を類焼させても重大な過失がなければ、隣家の損害を賠償する責任はないとご説明しました。 しかし、賃貸住宅の場合、借りている部屋で火災を起こせば、その損害を修復し、原状回復して大家さん(オーナ […]
  • 火災保険に携行品特約を付けるメリットは? 自動車保険やバイク保険の携行品特約について何度かご紹介しました。 『手荷物の損害は車両保険では補償されない!?』 『バイク保険にも携行品特約がある?』 『身の回り品も補償される車両保険』 実は火災保険にも携行品特約があります。 火災保険に携行品特約を付加すると […]
  • 同性パートナーと保険 2015年に生活を共にする同性カップルを夫婦と同じような関係の「パートナー」と認める制度が、東京都渋谷区と世田谷区で始まりました。 渋谷区は同性カップルに「パートナーシップ証明書」を交付し、世田谷区では、同性カップルの2人が、「パートナーシップ宣誓書」を提出すれば、区長が […]
  • ゲリラ豪雨による損害は火災保険で補償される? 最近は異常気象の影響で夏になるとゲリラ豪雨の話題が毎年のように出ます。また、「ゲリラ豪雨による自宅建物や家財の損害を補償する保険はあるのでしょうか?」という質問をいただくことが増えました。ゲリラ豪雨などの水害が起こると、住宅や家財に大きな被害が発生することがあります。 今 […]
  • 自転車保険の契約が重複していませんか? 自転車事故の高額な賠償事例が紹介されることが多く、自転車保険が注目されています。自転車保険については、当サイトで何度かご紹介してきました。 『自転車保険に加入する前に確認すべき6つのポイント』 『個人賠償責任保険とは?』 『自転車保険はTSマークの補償で充分か?』 『個 […]
2016年9月13日 | カテゴリー : 火災保険 | 投稿者 : 保険FP