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『短期払い(有期払い)』と『終身払い』の違いとは?

保険の加入時や見直し時に保険料の金額を強く意識する方でも保険料の支払期間を意識する方は少ないのではないでしょうか?

保険料は支払期間によって、1回あたりの額と総支払額に差が出ます。

今回は、保険料支払期間の「短期払い(有期払い)」と「終身払い」についての比較をご紹介したいと思います。「短期払い(有期払い)」と「終身払い」のメリット、デメリットを知り、保険料の支払期間を決める際の参考にして頂ければと思います。

1.終身払いとは?

一生涯保障が続く生命保険や医療保険契約の保険料を一生涯払い続ける方法を「終身払い」といいます。また、定期保険や養老保険のように満期がある契約で満期まで保険料を払い続ける方法を「全期払い」といいます。

終身払いや全期払いは短期払いと比べると1回あたりの保険料は安くなります。しかし、総払込保険料で比較すると、払込期間が長くなるにしたがって、短期払いに比べ、終身払いの方が高くなります。

 

 

 

2.短期払いとは?

保障期間より短い期間で保険料を支払う方法を「短期払い」といいます。例えば、終身保障の契約の保険料を60歳までに払い込むというような方法です。60歳で保険料の支払いは終わり、保障は一生涯継続します。

1回あたりの保険料は終身払いに比べて高くなります。しかし、払込期間が長くなると、総払込保険料は終身払いに比べて安くなります。

 

 

 

3.短期払いと終身払いの比較

「短期払い」と「終身払い」の実際の試算例をご紹介します。

【試算条件】
保険商品:終身保険(無配当)
保険金額:500万円
被保険者:30歳(男性)

保険料払込期間:60歳払済(短期払い)
月額保険料11,475円

保険料払込期間:終身払い
月額保険料7,825円

同じ保障内容ですが、支払期間が違うだけで、1ヶ月3,650円の保険料差が発生します。

1ヶ月の保険料差だけで判断すると、終身払いの方が得と思ってしまいますが、支払総額という観点で比較すると判断が変わります。

それぞれの支払い方の保険料総額の推移を表にしてみました。

終身払いの方が1回分の保険料が安いので、初めは支払総額も安くなりますが、支払期間が長くなるにつれてその差は縮まり、44年で短期払い(60歳払済)の方が総支払額で安くなります。

【60歳払済と終身払い比較表】

経過年数 終身払い 60歳払済
(短期払い)
差額
10年 939,000円 1,377,000円 438,000円
20年 1,878,000円 2,754,000円 876,000円
30年 2,817,000円 4,131,000円 1,314,000円
40年 3,756,000円 4,131,000円 375,000円
44年 4,131,600円 4,131,000円 -600円

上記の例で払い込み期間を更に10年間短くして50歳払い済みにすると終身払いと支払総額が逆転する年数が短くなります。

保険料払込期間:50歳払済(短期払い)
月額保険料:15,940円

1ヶ月の保険料を比較すると終身払いに比べて8,115円も高くなります。しかし、下記の表をみると分かるように、総支払額では41年で短期払い(50歳払済)の方が安くなります。

【50歳払済と終身払い比較表】

経過年数 終身払い 50歳払済
(短期払い)
差額
10年 939,000円 1,912,800円 973,800円
20年 1,878,000円 3,825,600円 1,947,600円
30年 2,817,000円 3,825,600円 1,008,600円
40年 3,756,000円 3,825,600円 696,000円
41年 3,849,900円 3,825,600円 -24,300円

ついでに70歳払済でも試算してみました。

保険料払込期間:70歳払済(短期払い)
月額保険料:9,370円

1ヶ月の保険料差は1,545円です。総支払額で比較すると下表の通りです。

【70歳払済と終身払い比較表】

経過年数 終身払い 70歳払済
(短期払い)
差額
10年 939,000円 1,124,400円 185,400円
20年 1,878,000円 2,248,800円 370,800円
30年 2,817,000円 3,373,200円 556,200円
40年 3,756,000円 4,497,600円 741,600円
47年 4,507,200円 4,497,600円 -9,600円

1ヶ月の保険料差が小さい分、支払総額が逆転するのも最も遅くて47年です。

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4.「終身払」と「短期払」のどちらが得か?

さて、「終身払い」と「短期払い」のどちらが得かというご質問を頂くことが多いのですが、一概にどちらが得ということは言えません。

支払総額という観点で考えれば、長生きすればするほど、「短期払い」の方が得ということになります。

しかし、上記のような観点だけで損得を判断することはできません。保険料を支払う方の状況によってどちらの支払い方にするかを決めることが重要でしょう。

 

 ①「短期払い」の方が向いている方

「短期払い」を選んだ方が良い方は下記のような方です。
・健康には自信があって長生きする可能性が高い
・老後に保険料を支払えるか不安がある
・加入した保険を見直す可能性が低く、解約する予定はない 等

 

②「終身払い」の方が向いている方

「終身払い」を選んだ方が良い方は下記のような方です。
・健康に自信がなく、長生きする可能性が低い
・毎月の保険料支払いの負担を極力下げたい
・加入した保険を見直す可能性が高く、解約する予定がある 等

日本では男女ともに平均寿命が80歳を超えいているので、一度加入したら見直し等で解約するつもりがない方には支払総額という観点だけでみると、やはり「短期払い」の方がいいでしょう。

 

 

 

5.医療保険やがん保険の「短期払」はお得?

医療保険やがん保険は「終身払」と「短期払」のどちらがいいかという質問をよく頂きます。

「短期払」は60歳等で保険料の支払いが終わり、その後は一生涯の保障が続くので、年金生活になる老後のことを考えると「短期払」の方が安心と考えられる方がいらっしゃいます。「終身払」だと老後に保険料を負担し続けられるだろうかと不安に思われる気持もよく分かります。

しかし、がん保険や医療保険は医療技術の進歩とともに保障内容も見直され、新商品が発売されてきました。

例えば、以前の医療保険では、入院の保障は5日目以降から等、1日目から保障されないのが当たり前でしたが、現在では、入院1日目からの保障が当たり前。更に日帰り入院も保障されます。

がん保険については、以前、入院保障と死亡保障のみという商品もありました。現在では、死亡保障がなくなり、診断一時金や通院の保障がある商品が主流です。

今後は、更に医療技術の進歩が加速することが予想されます。また、日本の将来を考えたときに現在の社会保障制度が現状のまま維持されるかも非常に危うい状況です。

このまま少子高齢化が進み、医療費等の負担が上がっていけば、現状の素晴らしい日本の社会保険制度が維持できない可能性もあります。そう考えると、医療保険やがん保険の保障内容は今後も変更され、新商品が次々に発売される可能性があります。

上記のような観点から考えると、保険料が掛け捨てである医療保険やがん保険については、1回の保険料負担がなるべく小さい「終身払」で加入し、医療技術の進歩や社会保険制度の変更に合わせて、医療保険やがん保険の見直しを行う方が得策といえます。

また、新商品に乗り換えることを前提に考えるのであれば、更に保険料負担の少ない10年定期等の商品に加入するのも1つの方法です。

但し、見直し時の健康状態によっては新商品に加入できない可能性がある点には注意が必要です。

 

 

6.解約返戻率にも注意が必要!

終身保障がある医療保険やがん保険等であれば、上記のような観点で支払期間を考えてもいいのですが、終身保険の場合は、もう1つ重要なポイントがあります。

それが解約返戻率です。解約返戻率とは、支払った保険料に対する解約時に受け取れる返戻金の率です。

たとえば、100万円の保険料を支払って、110万円の解約返戻金を受け取れば、下記のようになります。


110万円 ÷ 100万円 = 110%

この解約返戻率が保険料支払期間によって違いが出てくるので注意が必要です。

上記の終身保険の場合、「終身払い」だと解約返戻率が100%を超えることはありません。上記「短期払い」の例だと、何歳で払い終わるかによって時期は異なりますが、解約返戻率は100%を超えます。

【解約返戻率が100%を超える期間比較表】

支払期間 経過年数 解約返戻率
50歳払済 27年 100.7%
60歳払済 36年 100.7%
70歳払済 47年 100.2%

上記の通り、短期払いの場合は経過年数の違いはあっても解約返戻率は100%を超え、その後も解約返戻金は増え続け、一定の年齢まで解約返戻率は上がり続けます。

終身保険は保障だけではなく、老後資金等の準備として活用されるのはこのためです。

終身保険に関しては、どこかで解約返戻金を活用することを考えていれば、「短期払い」を選択する方がいいと言えるでしょう。
 

 

 

7.払込期間の変更は可能?

払込期間の変更は可能かという質問を頂くことがあります。

例えば、60歳払済を70歳払済や終身払に延長したり、逆に50歳払済に短縮したりということですが、保険会社や商品によっては可能な場合がありますので、加入時に保険会社や代理店にご確認ください。
 

 

 

まとめ

保険料支払期間の決め方は、決まった基準があるわけではなく、契約者、被保険者の状況やその契約をどのように利用するかによっても選択基準は変わってきます。

色々な状況を総合的に判断して検討する必要があるでしょう。

自分の状況を客観的に判断してもらいプロからアドバイスをもらうのも1つの方法です。下記ページからFP(ファイナンシャル・プランナー)に無料で相談が可能です。
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最終更新日:2017年12月31日
No.138