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自殺者が2万人を下回る|自殺も生命保険の保険金は支払われる?

厚生労働省の発表によると、国内の2019年の自殺者数(速報値)は10年連続で減少し、1万9959人(前年比881人減)でした。

2万人を下回るのは1978年の統計開始以来初で過去最少です。

自殺者数が過去最少になったとはいえ、大黒柱の方などが自殺すると、ご家族は大変なことになります。そこで気になるのが生命保険や損害保険で保障(補償)されるのかという点ではないでしょうか?

「加入している終身保険は、自殺の場合は免責(保障対象外)なのか?」とのご質問を頂いたこともあります。

生命保険は自殺した場合にも保障されるのでしょうか?また、傷害保険については、自殺は補償されるのでしょうか?

今回は、自殺に対する生命保険の保障および損害保険の補償について解説します。

1.自殺者が2万人を下回る、統計開始以来初

厚生労働省の発表によると、国内の2019年の自殺者数(速報値)は10年連続で減少し、1万9959人(前年比881人減)でした。

2万人を下回るのは1978年の統計開始以来初で過去最少です。人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率も15.8で過去最少でした。

なお、今回は速報値であり、後になって死因が自殺と判明した人の数が3月公表の確定値で盛り込まれるため、最終的に2万人を超す可能性もありそうです。

年間自殺者数は、下記記事の通り、2003年に最多の3万4,427人に達しましたが、2012年以降は3万人を下回っています。

年間自殺者数は97年まで2万人台で推移し、98年以降は14年連続で3万人超が続いた。03年には最多の3万4427人に達したが、12年以降は3万人を下回っていた。

性別では、男性が1万3937人(前年比353人減)、女性は6022人(前年比528人減)で、男性は女性の2倍超。女性の自殺死亡率は9・3で、初めて10を下回った。都道府県別で自殺死亡率が最も高かったのは山梨県で22・3。秋田県21・9、岩手県21・7と続いた。最も低かったのは神奈川県で11・5。次いで京都府12・4、大阪府13・5だった。

(出典:Yahooニュース

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2.自殺には免責期間(保険金支払対象外期間)あり

生命保険の場合、自殺は免責期間(保障されない期間)はありますが、その後は保障の対象となり、保険金が支払われます。免責期間は契約時(または、契約復活時)から、1~3年間となっています。

免責期間は、生命保険契約が保険金の取得目的に利用されることを防止するために設けられています。

保険会社や加入の時期によって免責期間は異なる場合がありますので、詳細は代理店または保険会社にご確認ください。

 

 

 

3.自殺の免責期間には例外あり

上記の免責期間中には例外があり、精神疾患で自殺した場合、免責期間内でも保険金を支払う事例があるようです。

心神喪失状態や精神障害など、意思能力のない状態での自殺は保険金の支払い対象となるケースがあると、ライフネット生命のHPに掲載されています。

ライフネット生命では、責任開始の日からその日を含めて3年以内の自殺に対しては、死亡保険金をお支払いすることはできません。ただし、精神障害などによる自殺については、死亡保険金をお支払いする場合もあります。

(出典:ライフネット生命

正常な判断能力を失った末の自殺を、自分の意思に基づく自殺と異なるとみなすためのようです。

精神疾患で自殺した場合は、免責期間中でも保険金支払いの対象になる可能性があるので、受取人ご自身で判断せず、請求してみることが重要でしょう。

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4.傷害保険は自殺が免責(保険金支払対象外)?

さて、生命保険の場合、免責期間を過ぎれば自殺は保障されますが、損害保険分野の傷害保険の場合は自殺は免責(保険金支払対象外)になっているので、注意が必要です。

生命保険が保障されるので、傷害保険でも補償されるだろうと思われる方もいらっしゃると思いますが、傷害保険の場合、自殺は補償対象外となります。

自動車保険の人身傷害保険も傷害保険なので、自殺は補償対象外となります。

例えば、車で海に転落し亡くなる方がいらっしゃりますが、保険会社に自殺と判断されれば、人身傷害保険では補償されないことになります。

 

 

 

5.契約者、保険金受取人の故意の場合は保障対象外

生命保険は、被保険者(保障の対象者)が自ら命を絶つ行為である自殺は保障対象外(免責期間内)ですが、契約者や保険金受取人の故意によって被保険者が死亡した場合も保険金支払対象外となります。

 

但し、保険金受取人が複数人いる場合、故意に被保険者を死亡させた受取人以外の受取人は保険金の残額を受け取ることができます

例えば、下記のような保険金受取人がA、Bの2人である生命保険契約で、保険金受取人Aが被保険者を故意に死亡させた場合には、Aに対しては免責(保険金支払対象外)となり、保険金は支払われませんが、Bに対しては死亡保険金500万円が支払われることになります。

【生命保険契約例】
死亡保険金:1,000万円
保険金受取人:A(割合50%)、B(割合50%)

損害保険分野の傷害保険についても契約者、被保険者、保険金受取人の故意または重大な過失によって発生した傷害については、免責(補償対象外)となり、保険金は支払われません。

保険金受取人が複数人指定されている場合には、生命保険と同様、故意に被保険者を死亡させた受取人以外の受取人は保険金の残額を受け取ることが可能です。

 

 

 

5.自殺未遂は健康保険が使えない?

生命保険、損害保険から少し話がそれますが、健康保険は、故意に給付事由を発生させた場合、保険金給付等は行われないことになっています。

つまり、自殺を図ることは故意に自らを傷つける行為となり、未遂により生じた傷病については、医療費、傷病手当金は支給されません。医療費の全額が自己負担になります。

但し、自殺未遂が精神疾患等に起因するものと認められる場合には、「故意」 に給付事由を生じさせたことに当たらず、保険給付等の対象となります。

 

 

 

まとめ

自殺の保障(補償)に関しては、生命保険と損害保険では上記の通り、考え方が異なります。また、自殺未遂に関しては原則として健康保険が利用できず、医療費に関しては全額自己負担になってしまうので、ご注意ください。