内縁の妻(夫)に相続権はない?

2017年12月30日

「婚姻の届出をしていない内縁の妻は何年一緒に暮らせば相続権が発生するのか?」とのご質問を頂きました。

内縁(事実婚)の配偶者とは何年一緒に暮らせば、相続権が発生するのでしょうか?内縁(事実婚)の配偶者に財産を遺すことはできるのでしょうか?

内縁(事実婚)の配偶者の相続権と財産を遺す方法について解説します。



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1.内縁(事実婚)の配偶者に相続権はない!

実は、内縁(事実婚)の妻(夫)には民法上、相続権はありません。つまり、相続割合は0%ということになります。

何十年一緒に生活していても婚姻の届出をしていない限り、内縁(事実婚)の配偶者には残念ながら相続権は発生しません。つまり、内縁(事実婚)の妻(夫)に財産を遺す対策を何もしなければ、相続時に土地や現金等を一切渡すことはできません。

但し、内縁の配偶者に法定相続人が一人もいなければ、内縁の配偶者は特別縁故者として遺産取得の可能性があります。

国民年金の遺族基礎年金や厚生年金の遺族厚生年金等、社会保険の給付については、一定の要件を満たせば内縁の妻も受給することが可能です。また、自動車保険等の配偶者にも内縁(事実婚)の配偶者は含まれますが、相続に関しては、法律上の婚姻関係が必要です。

例えば、内縁(事実婚)の夫に前妻との間に子供が居る場合、相続権はその子供にあります。よって、内縁の妻には相続権はなく、何も対策をしないと、内縁の妻は一切の財産を引き継ぐことはできません。


 

 

 

2.財産を渡したい場合

内縁(事実婚)の配偶者には相続権がないので、財産を渡したい場合には、遺言を書くことが1つの方法になります。

遺言があれば、渡したい人に財産を渡すことができます。但し、遺言を書いたからといって、必ず渡したい額の財産を内縁の配偶者に渡せるわけではなく、他の相続人の遺留分(兄弟姉妹以外の相続人に対して民法が保証する最低限の相続分)を侵害しない範囲でということになります。

また、遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」等がありますが、自筆の場合、遺言が無効となる可能性が高くなります。遺言の様式は民法で厳格に規定されていて、その規定に反している場合には、遺言が無効となってしまいます。また、「自筆証書遺言」には、裁判所の検認を受ける必要があるなどのデメリットがあります。

財産を遺したい方に確実に財産が渡るように遺言を作成する場合には、司法書士等の専門家に相談することをお勧めします。


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3.死亡保険金受取人に内縁(事実婚)の配偶者を指定する

内縁(事実婚)の配偶者に財産を渡すには、遺言を書く以外に生命保険の保険金受取人に指定する方法があります。

生命保険の死亡保険金は民法上の相続財産ではなく、受取人固有の財産とされていますので、遺産分割の対象外となり、渡したい人に保険金という形で財産を渡すことができます。

但し、受取人は誰でも指定できるわけではなく、原則、二親等以内の血族に限られます。戸籍上の配偶者の有無や同居期間といった条件はありますが、恐らく全ての保険会社で、内縁の配偶者も受取人に指定することが可能です。
死亡保険金受取人は誰でも指定できる?

内縁(事実婚)の配偶者に相続権がないのと同様に同性パートナーにも相続権はありません。しかし、上記記事でもご紹介しましたが、LGBT向けの対応を保険会社各社は進めていて、パートナー証明書等の証明があれば、同性パートナーも生命保険の死亡保険金受取人に指定できる保険会社が増えてきています。

同性パートナーに財産を遺したい場合にも生命保険が活用できます。


 

 

 

4.生命保険の非課税限度額は利用できない!

先述の通り、生命保険の死亡保険金は、民法上の相続財産とはされず、受取人固有の財産となりますが、税法上はみなし相続財産として相続税の課税対象となります。但し、生命保険の死亡保険金には非課税限度額(相続税法第12条)があり、以下の金額まで相続税がかかりません。

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

しかし、内縁(事実婚)の配偶者や同性パートナーを生命保険の保険金受取人に指定した場合は上記、生命保険の非課税枠は活用できません。なぜなら、非課税限度額を利用するには、死亡保険金受取人が法定相続人であることが条件となっているからです。よって、内縁(事実婚)の配偶者や同性パートナーは法定相続人ではないので、生命保険の死亡保険金を受け取っても非課税限度額を利用できません。

死亡保険金の非課税限度額の詳細については、下記記事をご参照ください。
死亡保険金の非課税限度額について勘違いが多いポイント

また、相続税には被相続人(亡くなった人)の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます)及び配偶者以外の人が財産を取得した場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される「相続税額の2割加算」という決まりがあります。

生命保険の死亡保険金はみなし相続財産として相続税の課税対象になるので、内縁(事実婚)の配偶者や同性パートナーが受け取った死亡保険金は上記の通り、相続税法第12条の非課税限度額も利用できず、更に「相続税額の2割加算」の対象となります。


 

 

 

5.非嫡出子の相続割合

内縁関係の夫婦間に生れた子供についての相続はどのようになっているでしょうか。

法律上の婚姻関係にない夫婦間に生れた子供を非嫡出子といいますが、非嫡出子については、認知されていれば相続権があります。

以前は、嫡出子と嫡出でない子(非嫡出子)の相続割合は異なりましが、平成25年9月4日の最高裁判決で、民法900条の「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」との規定は憲法違反であるとの判断が下されました。

最高裁の判断を受けて平成25年12月5日に民法の一部を改正する法律が成立し、非嫡出子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました


 

 

 

まとめ

内縁(事実婚)の配偶者は、法律上の婚姻関係がないため、相続権がないということをご存知ない方が多いかもしれません。

事実婚のパートナーに財産を遺したい場合には、遺言を書いたり、生命保険に加入するなどの対策が必要になります。大切なパートナーに財産を遺せるようにプロにご相談頂ければと思います。

生命保険については、無料でFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談することが可能です。
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