類焼損害補償特約は必要か?

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なぜ日本では火災保険への加入が必要なのか?』でもご紹介しましたが、日本には失火法があるため、火事で隣家を類焼させても重大な過失がなければ、隣家に対する賠償義務はありません。

法律上は、賠償する義務が無くても、道義的責任についてはどうでしょうか?

失火の際の類焼に備えるための火災保険の特約「類焼損害補償特約」の補償内容とともに、同特約の必要性について解説します。



1.失火法はあるが・・・

冒頭でもご説明しましたが、日本には失火法があるため、火事を起こし、隣家を類焼させても重大な過失が無い限り、隣家に対して賠償する義務はありません。

しかし、「法律上、私には責任がありません!」と言い切れる方は少ないでしょう。

法律上の責任はありませんが、道義上の責任から隣家への損害を補填する必要があるという場合に備えるため、火災保険には「類焼損害補償特約」があります。

また、失火法で賠償する義務がなかったとしても、今住んでいる土地にずっと住み続ける予定であれば、隣家の損害を補償する「類焼損害補償特約」は必要ではないかと思います。


 

 

 

2.補償内容

「類焼損害補償特約」とは、火災保険を契約の建物から出火し、近隣の住宅や家財に延焼した場合に、法律上の損害賠償責任がなくても、近隣の住宅や家財の損傷に対して保険金を支払う特約です。類焼した建物や家財の新価(再調達価額)を基準として算出した損害額が支払われます。

保険期間中1億円が限度となります。但し、保険期間が10年等の複数年の場合は1保険年度ごとに1億円が限度となります。

※新価(再調達価額)とは、保険の対象(建物や家財)と同一の構造、質、用途、規模、型、能力のものを再築または再取得するのに必要な金額をいいます。


 

 

 

3.補償対象外の事例

当該特約は、隣家の損害に対して、無条件で保険金を支払うわけではなく、補償対象外となるものがあります。

○自動車(自動三輪車、自動二輪車を含む)
○通貨、有価証券、預貯金証書、印紙、切手そのたこれに類するもの
○貴金属、宝玉および宝石ならびに書画、骨董、彫刻物、その他の美術品で1個または1組の価額が30万円を超えるもの
○動物・植物
○商品、事務用什器、備品等、事業を営むために使用されるもの   など

上記の通り、自動車や通貨などに損害が発生しても保険金支払いの対象外となるので、ご注意ください。


 

 

 

4.注意点

同特約は、煙損害または臭気付着損害は除くとなっていますので、注意が必要です。

また、この特約から支払われる保険金は、損害に対して保険金を支払うべき他の保険契約等がある場合、 その支払額を差し引いて算出されます。

つまり、隣家の方が火災保険に加入している場合には、その火災保険から支払われる保険金を差し引いて、更に支払うべき金額がある場合に保険金を支払うことになります。

隣家の加入している火災保険で損害が全て補償されるのであれば、当該特約からの支払いは無いことになります。逆に類焼した隣家が火災保険に加入していなかった場合には、1億円を限度に損害額の全額が同特約から支払われます。

同特約から保険金が支払われるのは、隣家の火災保険の保険金額が十分でなかった場合及び、火災保険に未加入であった場合です。隣家の損害額の全額が無条件で支払われるわけではないので、ご注意ください。


 

 

 

5.失火見舞費用保険金との違い

類焼損害補償特約を付帯しなくても失火見舞費用保険金があれば大丈夫ではないかと思う方もいると思いますが、失火見舞費用保険金では支払われる額が小さすぎます。

失火により類焼させた場合、1被災世帯あたり20万円前後、1事故につき保険金額の20%程度を限度に見舞金が支払われます。しかし、失火見舞費用保険金は本当にお詫び程度にしかなりません。

類焼損害特約はオプション扱いですが、ほとんどの火災保険には、失火見舞費用保険金が自動的にセットされています。


 

 

 

6.保険料例

類焼損害補償特約の特約保険料はある保険会社で試算したところ、1年間で1,800円です。建物の構造や地域等で変わることはなく、同一の保険料です。

 

 

 

7.類焼損害補償特約の必要性は?

年間2,000円弱で1億円の補償があるのであれば、同特約をセットする価値はあると考えます。

近隣の方が火災保険に加入していない可能性もありますし、加入していても長期で火災保険を契約している場合、時価で契約している可能性があります。時価契約の火災保険だと、支払われる保険金も時価額が限度になるので、保険金の支払額が実際の損害額に対して不足する可能性があります。類焼損害特約は新価(再調達価額)基準で保険金が支払われるので、その不足を補うことができます。

また、建物のみを対象とした火災保険に加入している方もいます。そのような場合、家財の損害は、その方の火災保険では補償されませんので、類焼損害補償特約が役立ちます。

※保険の対象(建物や家財)の新価から使用による消耗および経過年数などに応じた減価額を控除した金額をいいます。

 

 

 

まとめ

類焼損害補償特約は自動車等が補償の対象外になることや、隣家が火災保険に加入していた場合には、その火災保険に不足する部分のみが保険金支払対象となる点には注意が必要です。

自宅からの失火で隣家に類焼してしまった場合、隣家が保険金額に不足なく火災保険に加入しているのであれば、「失火見舞費用保険金」で隣家にお詫びをし、隣家が火災保険に加入していない場合や火災保険の保険金額が不十分な場合には、「類焼損害補償特約」で隣家の修理費用を補償するという活用方法が想定できます。


 
最終更新日:2017年7月22日
No.221

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2016年9月6日 | カテゴリー : 火災保険 | 投稿者 : 保険FP