カテゴリー
生命保険

生命保険の高度障害保険金とは?|税金はかかる?

「生命保険の保険金は死亡以外の理由では受け取れないのか?」との質問を頂きました。生命保険の保険金は、死亡以外の理由で受け取ることは可能なのでしょうか?

実は、死亡保険金以外にも高度障害保険金が受け取れる場合があります。高度障害保険金は、被保険者(保障の対象者)が保険会社所定の高度障害状態になった場合に受け取れる保険金です。

ご家族が重い障害状態になると、精神的だけでなく、経済的にも大変な思いをされる可能性があります。高度障害保険金を生前に受け取ることができれば、治療費などの経済的な面で少しでも助かるでしょう。

今回は、生命保険の高度障害保険金の下記ポイントについて解説します。

  • 高度障害保険金とは?どのような場合に受け取れる?
  • 高度障害保険金の受取人は誰?
  • 高度障害保険金を受け取ると税金が課税される?

生命保険から死亡保険金以外に高度障害保険金を受け取れることを知っている方は非常に少ないと思いますので、参考にして頂ければと思います。

1.高度障害保険金とは?

終身保険や定期保険等の死亡保険の保険金は、死亡保険金以外に高度障害保険金があり、被保険者(保障の対象者)が責任開始期以後に生じた傷害や疾病が原因で所定の高度障害状態になり、回復の見込みがない場合に受け取れます(高度障害保険金がない商品もあります)。

ただし、所定の高度障害状態でも回復の見込みがあると高度障害保険金は受け取れません

尚、高度障害保険金は死亡保険金と同額です。例えば、保障額(保険金額)が1,000万円の生命保険に加入していた場合、高度障害保険金として受け取れるのは、1,000万円です。

 

 

 

2.高度障害状態とは?

高度障害保険金が受け取れる高度障害状態とはどのような状態でしょうか。高度障害状態とは、下記のいずれかの状態をいいます。

高度障害状態

  1. 両眼の視力を全く永久に失ったもの
  2. 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
  3. 中枢神経・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し終身常に介護を要するもの
  4. 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  5. 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  6. 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  7. 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

生命保険会社が約款で定める高度障害状態は、国が定める身体障害者福祉法の障害状態等とは異なる場合があります。よって、身体障害者福祉法で身体障害等級1級に該当しても約款で定める高度障害状態に該当しない場合は、高度障害保険金は受け取れません。

通常、高度障害保険金を受け取ると契約は消滅します。それ以降、特約等の給付金は受け取ることができません。また、高度障害保険金を受け取った後に死亡しても死亡保険金は支払われません

スポンサーリンク

 

 

 

3.高度障害保険金の受取人は?

高度障害保険金の受取人は死亡保険金受取人ではなく、被保険者となります。但し、保険契約者が法人で、死亡保険金受取人が保険契約者である場合は、保険契約者が高度障害保険金の受取人となります。

高度障害状態になった場合に被保険者が自ら保険金を請求できるのかという疑問があると思います。被保険者が自ら請求できない場合は、指定代理請求人として指定された方が請求することができます。

指定代理請求人については、下記記事をご参照ください。
指定代理請求人とは?指定するデメリットはない?

指定代理請求人とは?

指定代理請求人とは、被保険者(保障の対象者)が受取人になる高度障害保険金や給付金等を請求できない「特別な事情」がある場合に代理として保険金などの請求を行うことができる人のことです。

例えば、事故や病気などで寝たきり状態となり、受取人である被保険者の意識がなかったり、請求の意思表示ができない場合、高度障害保険金や給付金を指定代理請求人が保険会社に代理請求することが可能です。

なお、指定代理請求人は契約者があらかじめ指定する必要があります。

 

 

 

4.高度障害保険金請求時の必要書類

高度障害保険金請求時の主な必要書類は下記の通りです。

高度障害保険金請求時の必要書類

  • 保険証券
  • 受取人の印鑑証明書
    保険証券を紛失している場合、または保険金額が500万円を超える場合などに必要となります。
  • 保険金・給付金等請求書
  • 同意書
  • 障害診断書
    医師が記入する書類です。

上記の必要書類のうち、「保険金・給付金等請求書」や「同意書」、「障害診断書」は保険会社所定の書類となります。高度障害保険金請求時に保険会社や代理店などに連絡すれば、郵送等でお手元に届きます。

なお、ライフネット生命のように必要書類が保険会社のサイトからダウンロードできる場合もあります。
参考:各種請求書のダウンロード(ライフネット生命)

 

 

 

5.高度障害保険金を受け取ると税金が課税される?

死亡保険金を死亡保険金受取人が受け取ると、契約形態により下表のとおり、相続税所得税贈与税の課税対象となります。
死亡保険金に課税される税金
死亡保険金に対する相続税は保険金の受け取り方で異なる?

税金の種類 契約者 被保険者 受取人
相続税(注1 A(例:夫) A(例:夫) B(例:妻)
贈与税(注2 B(例:妻) A(例:夫) C(例:子)
所得税(注3 B(例:妻) A(例:夫) B(例:妻)

(注1 相続税法 第3条1項1号、相続税基本通達5-5-(1)
(注2 所得税法 第34条
(注3 相続税法 第5条1項 相続税施行令 第1条の5、相続税基本通達5-5-(2)

死亡保険金は課税の対象となりますが、高度障害保険金は非課税ですので、税金はかかりません。被保険者が受け取る場合も非課税ですし、配偶者、直系親族、生計を一にするそのほかの親族が受け取る場合も非課税となります。

但し、リビングニーズ特約と同様に被保険者が受け取り、死亡時に使い残した保険金は相続財産となり、相続発生時に相続税の課税対象になります。
リビング・ニーズ特約とは?

 

 

 

まとめ

高度障害保険金は、保険会社に請求しないと支払われることはありません。つまり、生命保険の契約者や被保険者、ご家族が高度障害保険金の存在を知らないと請求することができません。

生命保険は死亡時以外でも役立てて頂くことができますので、高度障害保険金についても知って頂ければと思います。

また、被保険者(保障の対象者)が高度障害状態に該当するような場合、高度障害保険金を被保険者本人は請求できないでしょう。そのような時のためにも指定代理請求人を指定されることをおすすめします。

指定代理請求人の指定には費用もかかりませんし、指定することによるデメリットもありません。ご加入のご契約に指定代理請求人が指定されているかどうかをご確認頂ければと思います。

最終更新日:2019年2月15日
No.120